胃切除とは何か – 定義と概要
概要
胃切除は、胃の一部または全体を外科的に取り除く手術です。主に胃がんの治療に用いられますが、出血性潰瘍や胃壁の穿孔、良性ポリープの除去にも適応されます。手術はビルロートI式またはII式と組み合わせて行われ、食道・残存胃・小腸の再建が行われます。部分的な胃でも栄養吸収は小腸が担うため、生活は可能です。
歴史
1881年、オーストリアの外科医クリスチャン・アルバート・テオドール・ビルロートが世界初の成功例を報告しました。ビルロートは近代腹部外科の創始者とされ、胃がん治療のために胃切除を行いました。当時は胃潰瘍の治療にも用いられ、しばしば迷走神経切断(迷走神経切除)と併用されていました。現在では、酸分泌抑制はプロトンポンプ阻害薬で行われます。
手術の流れ
手術時間は概ね1〜3時間で、全身麻酔下で行われます。胸骨下部から臍までの切開を行い、必要に応じて腸管をクランプで遮断し、対象部位の胃を切除します。がんが原因の場合は、リンパ節や脾臓の切除が追加されることがあります。
術前の準備
手術前には数日間の高繊維食と十分な水分摂取で腸内を浄化します。前日には下剤や浣腸を使用し、手術前の一定時間は絶食・絶飲を指示されます。また、血液凝固薬、降圧薬、インスリンなどの服用は医師の指示に従い中止することがあります。
術後の経過
回復期間は患者の術前状態に左右されます。カテーテルや鼻胃管、必要に応じて酸素マスクが最大3日間装着され、点滴で抗生物質・鎮痛・制吐薬が投与されます。術後すぐに食事はできませんが、腸音が確認でき次第、徐々に流動食から普通食へ移行します。多くの場合、翌日には歩行が可能です。
長期的なケア
縫合部の清潔保持や感染予防の指示が出されます。食事は頻回で少量、タンパク質を多く、糖質・糖分を控えた内容が推奨されます。カルシウム、鉄、葉酸などのサプリメントが必要になることがあり、全胃切除後はビタミンB12の注射が必須です。
主な合併症
手術に伴う合併症として最も多いのは「ダンピング症候群」です。食物が小腸へ急速に流入し、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、めまい、呼吸困難、過度な発汗などが起こります。時間と食事調整で自然に改善しますが、他にも感染、内部出血、腹膜炎、悪性貧血(ビタミンB12欠乏)、栄養不足、消化不良などがあります。
