輸血とは何か?

輸血は、外傷や手術による大量出血、あるいは血友病や鎌状赤血球症といった重篤な血液疾患の治療のために、患者に血液を供給する医療行為です。かつては全血が使用されていましたが、現在は目的に応じて血漿や赤血球などの成分血が主に用いられています。

歴史

17世紀、ウィリアム・ハーベイが血液循環の実験を行い、動物への輸血に成功しました。しかし、人への応用は多くの場合致命的な結果を招きました。フランス王ルイ14世の御医者であるジャン=バティスト・デニィは、羊の血液を15歳の少年に輸血し成功させました。1667年にはリチャード・ロウアーがロイヤル・ソサエティの前で同様の実験を披露しています。1818年、ジェームズ・ブランデルが夫婦間で人血の輸血に成功し、近代的な輸血の礎を築きました。1910年代になると血液の保存方法が確立され、第一次世界大戦中に血液銀行が普及。血液型の理解が進むと、輸血の安全性が飛躍的に向上し、血漿と赤血球への分離技術が開発されました。

留意点

初期の輸血は、血液型の不一致による免疫反応が頻繁に起こり、失敗例が多くありました。現在はABO式に加えRh因子(陽性・陰性)やその他の赤血球抗原を考慮し、適合検査を徹底しています。

手順

採取された血液は冷蔵保存され、室温に戻した後30分以内に輸血を開始します。通常は静脈カテーテル(カニューレ)を腕に装着し、1単位(約500 mL)の血液を約4時間かけて投与します。必要に応じて抗ヒスタミン薬やアセトアミノフェンが投与され、アレルギー反応を予防します。

メリット

ほとんどのケースで、輸血の利益はリスクを上回ります。医師が輸血を勧めるのは、患者の健康に対する潜在的利益がリスクを凌駕すると判断した結果です。

注意点・リスク

現代の医療でも、輸血には軽度の副作用(発熱、寒気、頭痛、背部痛、胸痛、頻脈、低血圧)や、稀に細菌・ウイルス感染(例:B型肝炎は約25万単位に1件)リスクがあります。また、血液の誤投与による反応は、二重チェック体制の導入により大幅に減少しています。

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