ヒーリングライトとは何か?
LED(発光ダイオード)を用いた光療法は、医療分野で治癒促進剤として活用されています。元々はNASAのマシャル宇宙飛行センターが長期宇宙ミッションでの植物育成支援のために開発した技術で、現在は家庭用デバイスとして筋肉や関節の痛み・こわばり、関節炎の一時的緩和、血行促進、筋組織の再生などに利用されています。
機能
1990年代、QDI(Quantum Devices, Inc.)の研究者はNASAと協力し、LEDが放つ近赤外光が植物細胞のミトコンドリア活性を高め、成長速度を向上させることを確認しました。その後、ウィスコンシン医科大学(MCW)の実験でも、近赤外光に曝露された細胞は未曝露の細胞に比べて150~200%速く増殖することが報告され、赤外光が細胞内エネルギーを増加させ、治癒プロセスを加速させることが示されました。
重要性
ウィスコンシン州バーネルヴェルドに本拠を置くフォトバイオテクノロジー企業QDIは、赤外光が細胞増殖を促進する特性を医療応用に転用しました。LEDが発する光は波長が長くなるほど赤くなり、波長が長いほど組織深部まで届きやすく、深層組織の治癒に有効です。
がん治療への応用
QDIの「HEALS」(High Emissivity Aluminiferous Lighting Substrate)技術は高出力LEDを光源とし、光感受性化学療法薬を活性化させる光線力学療法(PDT)に利用されています。また、MCWのハリー・T・ウェラン博士との共同研究により、がん治療に伴う創傷や潰瘍の治療にも応用。小児骨髄移植患者の口腔粘膜炎(口内潰瘍)の予防にも効果が確認されています。
軍事への応用
ウェラン博士の研究は、LEDが創傷治癒に有効であることを実証しました。USSサルトレイクシティ潜水艦の医療隊は、LED搭載の創傷治療装置を使用した乗組員の裂傷が従来の半分の速度で治癒したと報告しています。また、バージニア州ノーフォークとカリフォルニア州サンディエゴの海軍特殊戦指揮センターでも、筋骨格系のトレーニング傷害に対しLED治療を行った結果、回復率が40%向上しました。2010年には中東でQDIの携帯型デバイス「Warp 10」が現場での自己治癒用として試験されました。
将来の可能性
現在もLEDを用いた植物育成研究が続けられています。フロリダ大学農業食品科学研究所では、LEDが果実量や耐病性を向上させる作物の開発が進められています。米国農務省(USDA)の研究では、紫外LEDがレタスの葉に含まれるフラボノイド抗酸化物質を増加させ、北部地域でも冬季に作物栽培が可能になる可能性が示唆されています。また、UV LEDは収穫後の果物・野菜の栄養素を保持する効果も報告されています。
