乳がんと治療が体に与える影響
乳がんの治療は、体のさまざまなシステムに影響を及ぼします。これらの変化を正しく理解し、医療チームと連携することで、不快感を最小限に抑え、生活の質を保つことができます。
月経の変化
化学療法、ホルモン療法、放射線治療はホルモン分泌を乱し、月経不順や早期閉経を引き起こすことがあります。多くの場合、治療終了後に月経は回復しますが、永続的に変化が残るケースもあります。
脱毛
化学療法に伴う脱毛は、初回投与から数週間で始まります。治療終了後3〜6か月で毛は概ね再生しますが、再生が不完全になることもあります。
頭皮冷却(コールドキャッピング)は脱毛を抑える効果が確認されています。2020年の研究(90名対象)では、顕著な保護効果が報告されました。
むくみ(リンパ浮腫)
リンパ液がたまり腕や胸、乳房が腫れる状態をリンパ浮腫と言います。腋窩手術や放射線治療でリスクが高まります。専門医は、エクササイズや圧迫スリーブなどの対策を提案します。
皮膚の変化
放射線治療は皮膚の赤みや刺激、重症例では潰瘍を引き起こすことがあります。その他、疲労感、神経障害、心臓への影響も報告されています。
体重増加
2021年のレビューでは、ステロイドやホルモン療法により内臓脂肪が増える傾向が指摘されています。内臓脂肪はインスリン抵抗性や慢性炎症を助長し、がんの進行に関与する可能性があります。栄養指導と定期的な運動が有効です。
メンタルヘルス
2020年のメタ分析(28万2千203人)では、治療中のうつや不安の発症率が高いことが示されました。気分の変化を感じたら、腫瘍内科チームに相談し、精神科や心理カウンセラーへの紹介を受けましょう。瞑想、ジャーナリング、趣味、屋外活動などのセルフケアも有効です。
乳房温存手術(ルンプテクトミー)
腫瘍とその周囲の正常組織を一定のマージンで切除します。乳房の大部分を残すため、傷跡や軽度の非対称が残ることがあります。
乳房切除術(マステクトミー)
腫瘍が大きい場合は全乳房を摘出します。主なバリエーションは以下の通りです。
- 皮膚温存型マステクトミー:皮膚を残し、後の再建に利用。
- 乳頭温存型マステクトミー:乳頭・乳輪を保持。
- 二重乳房切除:遺伝性リスク(BRCA変異など)や対側リスクが高い場合に両側を切除。
リンパ節除去
ほとんどの手術でセンチネルリンパ節生検が行われ、通常3〜4個のリンパ節を採取して転移の有無を確認します。転移が認められた場合は腋窩リンパ節郭清が実施され、最大で15〜20個のリンパ節が除去されます。
切開は主に腋窩付近の上外側乳房に行われ、小さな瘢痕が残ります。2023年の研究(66名対象)では、術後の腕の痛みと可動域低下が報告され、慢性疼痛は20〜30%の患者に見られました。
疼痛管理には神経ブロック、処方鎮痛薬、理学療法が有効です。持続的な痛みがある場合は必ず医師に相談してください。
その他の副作用への対策
- 利尿剤:体液貯留によるむくみを軽減することがあります。
- 外用クリーム・軟膏:放射線による皮膚刺激を和らげます(氷嚢や温熱パッドは効果が低いです)。
- 再建オプション:インプラント、自己組織移植、ブレストフォーム、フラットクローズなどが選択可能です。
- コールドキャッピング:化学療法による脱毛を抑制します(上記研究参照)。
- メンタルヘルス支援:不安・うつ・身体イメージの問題に対し、腫瘍内科医に心理士やカウンセラーの紹介を依頼しましょう。
脱毛、むくみ、手術痕などの身体的変化は一般的ですが、多職種チームが適切な対策を提供します。自分自身に優しく接し、支援ネットワークを活用し、必要なときは早めに助けを求めましょう。
