転移性カルチノイド腫瘍とは?

カルチノイド腫瘍(神経内分泌腫瘍)は、体内のホルモン産生細胞から発生します。主に消化管と肺に発生しますが、全身のどこにでも現れる可能性があります。転移性カルチノイド腫瘍は、腫瘍が筋肉やリンパ節、肝臓や骨など遠隔臓器へ転移した状態を指します。

診断

カルチノイド腫瘍は増殖が極めて遅く、症状が出るまで数年から数十年かかることがあります。そのため、多くは他の検査や手術の際に偶然発見されます。転移がすでに起きていることが多く、原発部位の特定が難しい場合があります。診断には以下の検査が用いられます。

  • 血液・尿検査
  • 組織生検
  • 上部消化管内視鏡・内視鏡的超音波検査
  • 骨シンチグラフィー、X線、CT、MRI
  • OctreoScan、PET/CT などの機能画像検査

統計

米国での年間診断数は約11,000〜12,000例と推定され、5年生存率は全体で70〜80%です。局所期の生存率は約93%ですが、遠隔転移がある場合は20〜30%にまで低下します。

リスク要因

明確な原因は不明ですが、以下の要因がリスクを高めるとされています。

  • 多発性内分泌腫瘍(MEN)の家族歴
  • 人種・性別(アフリカ系アメリカ人男性のリスクが高い)
  • 年齢(診断平均年齢は40〜65歳)
  • 胃の炎症や胃酸分泌低下などの胃疾患

症状

症状は主に転移が進行したときに現れます。消化管起源のカルチノイド腫瘍では、顔面紅潮、下痢、腹痛、喘息様症状、皮疹、心疾患、腸出血、ペラグラ、黒色便(メレナ)などがあります。肺起源の場合は、咳嗽、喘鳴、閉塞性肺炎がみられます。これらは他の疾患でも起こり得るため、医師の診断が必要です。

合併症

長期間にわたるカルチノイド腫瘍ではカルチノイド症候群が起こり、顔面紅潮、発汗、下痢、呼吸困難、喘鳴、頻脈、心雑音、体重増加、筋力低下、二次性糖尿病、多毛、血圧上昇、神経症状などが現れます。これらが同時に重篤化すると「カルチノイド危機」と呼ばれ、生命に関わります。ストレス、化学療法、麻酔が引き金となりますが、オクトレオチドによる血圧上昇抑制とホルモン産生抑制で予防・治療が可能です。

治療

治療方針は腫瘍の大きさ・部位、転移の程度、患者の全身状態により決定されます。主な治療法は以下の通りです。

  • 外科的切除(原発巣や転移巣の手術)
  • 放射線療法
  • 化学療法
  • 免疫療法
  • 分子標的薬・ホルモン療法(例:オクトレオチド)

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