胸腺がん(胸腺腫)の予後とステージング

胸腺は内分泌系の一部で、神経系と連携しながら体内の恒常性(ホメオスタシス)を保つ重要な臓器です。柔らかい二葉構造を持ち、心臓の上方にある大動脈弓の前、胸骨上部の後方に位置します。胸腺に発生するがんは比較的稀で、予後の評価については医師間で意見が分かれることがあります。

がんの予後

胸腺は年齢とともに縮小しますが、幼児期や小児期は大きく、T細胞という免疫系の重要な白血球を産生します。胸腺にできるがんは「胸腺腫(thymoma)」と呼ばれ、予後を判断する最初のステップは「ステージング」です。ステージングは腫瘍が胸腺内でどの程度進行しているかを示します。

ステージング

ステージングの方法は医師によって統一されておらず、合意形成が難しい点があります。最も広く用いられているのは「Masaoka(マサオカ)分類」で、MRIやCT画像、腫瘍の硬さ、外科的切除標本の顕微鏡検査などを基に四つのステージに分けます。

ステージⅠ・Ⅱ

ステージⅠは腫瘍が胸腺の外層やカプセルに浸潤していない状態で、壁にがん細胞は認められません。この段階では「経過観察」も選択肢となります。ステージⅡではカプセルや胸腔内の組織に浸潤が認められ、治療が必要となります。

ステージⅢ・Ⅳ

ステージⅢでは心膜や頸部、上胸部の主要血管など近接臓器へ浸潤が広がります。ステージⅣはさらにAとBに分かれ、ⅣAは胸腔内(肺膜や心膜)に広範囲に拡散した状態、ⅣBは肝臓や腎臓など遠隔臓器へ転移した状態を指します。

最終的な見解

Masaoka分類は現在も評価が続けられており、Interactive Cardio Vascular and Thoracic Surgery Instituteは「Masaoka分類は広く使用されているものの、ステージ別の生存率分布が均等ではない」と指摘しています。最新の臨床データを踏まえた個別の予後評価が求められます。

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