腎臓がんの概要と対策
米国国立がん研究所によると、毎年約5万人が新たに腎臓がんと診断され、数千人が命を落としています。男性の発症率は女性の約1.5倍で、主に50歳から70歳の間に発症します。初期症状が乏しいか全く現れないため、気付かないうちに進行してしまう危険性があります。
腎細胞癌(Renal Cell Carcinoma)
腎細胞癌(RCC)は成人の腎臓がんの中で最も一般的なタイプで、別名ハイパーネフローマとも呼ばれます。腎臓の細小管(近位曲尿細管)を構成する細胞から発生し、通常は単一の腫瘤として腎臓内に現れますが、稀に両腎に同時に発生することもあります。腫瘍が大きくなるまで自覚症状が出にくく、転移が認められると治療が難しくなります。
移行上皮癌(Transitional Cell Carcinoma)
腎臓がん全体の5〜10%を占める移行上皮癌は、腎盂と尿管を結ぶ上皮組織に発生します。尿管や膀胱でも同様の癌が起こり得ます。喫煙や職場での化学物質(石綿、カドミウム、ベンゼンなど)への曝露が主なリスク要因とされています。
ウィルムス腫瘍(Wilms' Tumor)
ウィルムス腫瘍は幼児に発生する稀な腎臓がんです。近年は画像診断技術の向上により、早期に病変範囲を把握でき、治療成績が大幅に改善しています。
症状
進行した腎臓がんでは、血尿(ピンク色、コーラ色、赤色)や肋骨下部の持続的な背部痛、体重減少、倦怠感、間欠的な発熱などが見られます。初期段階ではほとんど症状が現れません。
診断と治療
超音波、CT、MRI などの画像検査に加え、血液・尿検査や組織生検で確定診断を行います。腎細胞癌が局所に留まっている場合は外科的切除が標準治療です。手術が難しいケースでは画像ガイド下のアブレーションや放射線療法が併用されます。
リスク要因
喫煙は最も重要なリスク因子です。肥満はホルモンバランスの変化を通じて腎細胞癌のリスクを高めます。職場での有害化学物質(石綿、カドミウム、除草剤、有機溶剤、ベンゼン、トリクロロエチレンなど)への曝露や、遺伝的要因も関与します。
注意点
子どもの腰痛を成長痛と誤診し、ウィルムス腫瘍を見逃すケースがあります。背部痛が続く場合は速やかに画像診断(MRI など)を受けることが重要です。
