胆嚢がんの治療法
背景
胆嚢がんは胆道系がんの一つで、胆管がん(胆道癌)と同様に肝臓から小腸へ胆汁を運ぶ胆道系に属します。米国国立がん研究所(2009年)の推計によると、米国で毎年約1万人の胆道系がんが新たに診断され、そのうち約3千例が胆嚢がんです。胆嚢がんは米国では比較的稀ながんです。
胆嚢は肝臓の下に位置し、胆汁(脂肪の消化を助ける液体)を貯蔵・濃縮します。ほとんどの胆嚢がんは胆嚢の粘膜腺上皮に由来し、腺がん(腺癌)として分類されます。
リスク要因と症状
胆嚢がんのリスク要因には、胆石や胆嚢ポリープの既往、慢性サルモネラ感染、胆道嚢胞などがあります(Chabner et al., 2008)。女性に多く、白人がアフリカ系アメリカ人よりもリスクが高く、年齢が上がるにつれて罹患率も上昇します。
主な症状は黄疸、発熱、腹痛です。腹部膨満感や吐き気・嘔吐もみられますが、症状が非特異的なため早期診断は困難です。早期の胆嚢がんでは無症状のこともあります。
治療
根治的治療としては外科手術が唯一の選択肢ですが、全治療が可能な患者は全体の30%未満です(Chabner et al., 2008)。診断が確定したら、胆嚢と胆嚢床2cm以上を含む根治的胆嚢摘出術(radical cholecystectomy)が推奨されます。リンパ節郭清や、肝臓浸潤が認められる場合は該当部位の肝切除も行います。
手術で完全に切除できない場合は、放射線療法や化学療法で病勢のコントロールと症状緩和を図ります。ニューヨークのMemorial Sloan‑Kettering Cancer Centerなどの大規模がんセンターでは、がん細胞の増殖を阻害する生物学的製剤の研究や臨床試験が進められています。
予後
手術による予後はがんのステージに依存します。根治的に切除できた患者の5年生存率は20〜50%と報告されています(Chabner et al., 2008)。しかし、症状が非特異的であるため多くは進行期に診断され、予後は不良です。
今後の方向性
胆嚢がんは発生頻度が低いため、大規模な臨床試験は限られています。これまでの研究は単一施設で少数例を対象に行われることが多く、今後は多施設共同研究や新規治療法の開発が期待されます。
