前立腺肥大手術の手順と種類
良性前立腺肥大(BPH)は、前立腺が非悪性に肥大し、尿道を圧迫することで排尿障害を引き起こす状態です。症状が進行し、薬物療法だけでは改善しない場合に手術が選択されます。以下に、代表的な手術方法とその特徴をまとめました。
経尿道的前立腺切除術(TURP)
米国メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの泌尿器科長、Peter T. Scardino 医師によれば、TURPは前立腺肥大手術の約95%を占める、最も一般的な手術です。「Roto‑Rooter」手術とも呼ばれます。
全身麻酔下で、陰茎から小さな電気ループを尿道へ挿入し、余分な前立腺組織を切除・焼灼します。入院期間は最大で3日ですが、効果は高く、重篤な合併症はまれです。
経尿道的電気蒸発術(TUVP)
電極を尿道から挿入し、組織を急速に加熱して蒸気に変えることで前立腺肥大を除去します。TURP と同等の副作用の少なさが報告されており、入院期間がさらに短いのが利点です。
レーザー前立腺切除術(KTPレーザー)
KTP高エネルギーレーザーを用いて前立腺組織を蒸発・焼灼します。入院期間はTURPより短く、長期データは不足していますが、現在までのところ副作用は軽微です。
経尿道的前立腺切開術(TUIP)
TUIP は前立腺全体を除去するわけではありませんが、尿道を広げる小さな切開を行うことで排尿を改善します。全身麻酔下で内視鏡を尿道に挿入し、レーザーで切開を行います。外来での実施も可能ですが、追加手術が必要になるリスクはやや高めです。
経尿道的マイクロ波熱療法(TUMT)
マイクロ波を用いて余分な前立腺組織を加熱・凝固させます。治療後3〜6か月で壊死組織が自然に排出され、尿流が改善します。短期的な有効性は確認されています。
その他の手術法
- 経尿道的ニードルアブレーション(TUNA):マイクロ波ニードルで組織を加熱し、症状改善まで1〜2か月かかります。長期データは未確立です。
- 高強度焦点式超音波(HIFU):直腸内にプローブを挿入し、90℃まで加熱して組織を破壊します。強い鎮静が必要で、成功率は限定的です。
- 開腹前立腺切除術:前立腺が極端に大きい場合に行われる従来の手術です。腹部切開で余分な組織を除去し、入院は約3日。射精障害や出血、心血管系合併症のリスクがあります。
各手術は患者さんの前立腺サイズや全身状態、希望する回復期間に応じて選択されます。担当医と十分に相談し、最適な治療法を決めることが重要です。
