前立腺生検のリスクと対策
前立腺生検は、前立腺組織を採取してがんの有無を調べる検査です。PSA(前立腺特異抗原)値が上昇し、直腸診で異常が認められた場合に、泌尿器科医が実施します。検査結果が陽性であれば前立腺がんが確認されたことになります。
検査に伴うリスクや合併症について正しく理解しておくことは重要ですが、がん細胞は放置すると増殖し続けます。検査を遅らせることは望ましくありません。
リスク回避のための準備
既往症や出血傾向、服用中の薬(特に血液を薄める薬)を医師に必ず伝えてください。生検は直腸から針を通すため感染リスクがあるため、検査前夜に抗生物質を服用することが一般的です。心臓雑音がある方や、歯科治療前に抗生物質が必要な方は、検査の1週間前から抗生物質を継続的に服用します。また、アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬は検査の1週間前までに中止し、出血リスクを低減させましょう。
生検手順
経直腸超音波(TRUS)で前立腺の画像を取得し、6~8本の組織サンプルを採取します。検査自体は約15分、サンプル採取にさらに10分程度かかります。局所麻酔を行う場合はさらに10分程度が必要です。指の太さほどの超音波プローブを直腸に挿入し、音波で前立腺と周囲組織の映像を取得します。ほとんどの場合、軽い不快感は一瞬で収まりますが、不安が強い方や痔核がある方は痛みを感じやすいです。取得したサンプルは病理医ががんの有無を判断します。
軽度の合併症
検査後数時間は直腸や陰茎に軽い痛みや違和感を感じることがあります。数日間は直腸から少量の出血が見られることがあります。また、血尿や血餅が数日から数週間続くことがありますが、安静と水分摂取で自然に改善します。症状が長引く場合は速やかに医師へ連絡してください。
重篤なリスク
患者の約3〜10%が、検査後1週間以内に尿路感染症や細菌性前立腺炎を発症します。高熱、寒気、筋肉痛、排尿時の灼熱感や頻尿がある場合は緊急受診が必要です。感染が放置されると敗血症に進行し、長期入院や重篤な健康被害をもたらす恐れがあります。
前立腺が拡大している男性では、急性尿閉(排尿できなくなる状態)が起こることがあります。これも早急な治療が必要です。
稀に、直腸壁の動脈が誤って刺され、重度の出血を起こすことがあります。その場合は輸血や止血処置、縫合が必要となり、入院治療が求められます。
注意点
最も大きなリスクは、がんを見逃すことです。採取できる組織は前立腺全体のごく一部であるため、初回の生検でがんが検出される確率は約75%です。通常は3〜4回の生検で診断が完了しますが、12回の生検を要した例も報告されています。検査間は6週間から3か月の間隔が必要なため、がんが見つかるまでに1年以上放置されるリスクがあります。
