甲状腺がんに対する放射性ヨウ素治療(RAI)
放射性ヨウ素治療(RAI)
甲状腺がんの治療法の一つに、放射性ヨウ素(RAI)があります。これは放射線療法の一種ですが、外部ビームや体内ペレットを用いるのではなく、ヨウ素溶液を経口摂取してがん細胞を破壊します。
治療の仕組み
- 患者は一定量の放射性ヨウ素を経口で摂取します。血流に入ったヨウ素は甲状腺細胞を選択的に取り込み、がん細胞も同様に吸収されます。
- 甲状腺細胞は体内で唯一ヨウ素を取り込む細胞であるため、放射性ヨウ素は健康な細胞や他の組織に影響を与えません。
- 放射線は細胞内に取り込まれ、DNAを損傷させて増殖を抑制し、がん細胞を死滅させます。
- 治療開始前に、がん組織がヨウ素を取り込むかどうかの「トレーアル」検査を行い、取り込めたことが確認できたら本格的な高用量投与へ移行します。
他の治療法との組み合わせ
放射性ヨウ素は有効ですが、単独で使用されることは稀です。多くの場合、手術(甲状腺全摘術または葉摘術)で腫瘍やがん組織を除去した後に、残存する甲状腺がん細胞を除去する目的でRAIを投与します。
進行したステージ(例:IV期)の場合、放射性ヨウ素は緩和的治療として用いられ、症状軽減や生活の質向上を目指しますが、根治的な効果は期待できません。
予後
甲状腺がんの5年相対生存率は、治療法に関わらず非常に高く、男性で90〜95%、女性で95〜98%と報告されています。特に早期発見が鍵で、甲状腺内にとどまっている段階では生存率はほぼ100%です。
リンパ節転移がある場合は約97%、遠隔転移が認められると約59%に低下しますが、診断の約70%が早期段階であるため、全体的な予後は良好です。
