アルツハイマー病に対するビタミンEとセレン治療の現状
考慮すべき点
研究では、ビタミンEがアルツハイマー病の進行をやや遅らせる可能性が示唆されています。2008年の米国神経学会で発表された研究では、850人の患者を対象にビタミンEサプリメントを投与した結果、わずかながら進行抑制効果が認められました。また、2009年の老年医学学会で報告された臨床データの解析でも、ビタミンEが進行速度を遅くする可能性が示されました。さらに、抗炎症化合物と併用すると、ビタミンE単独よりも効果が高まることが示されています。
セレンは天然の抗炎症作用を持ち、ビタミンEと同様に脳細胞を保護するため、両者を組み合わせることでアルツハイマー病の治療に有益であると仮説が立てられています。
しかし、信頼性の高いシステマティックレビューであるCochrane Collaborationは、ビタミンEがアルツハイマー病治療に有意な効果を示すエビデンスは不十分であると結論付けています。その主な理由として、大規模で質の高い臨床試験が不足している点が挙げられています。
現在進行中の研究
米国国立老化研究所(NIA)は、2002年にビタミンEとセレンのアルツハイマー病治療効果を評価する大規模研究を開始しました。既にがん研究でビタミンEとセレンを対象としたプロジェクトが進行していたことから、NIAは同研究にアルツハイマー病用のアームを追加しました。
この試験は10,000人以上の被験者を4つの群に分け、以下のように投与しました。
- ビタミンEとセレンを毎日併用投与
- ビタミンEのみ投与、セレンは偽薬
- セレンのみ投与、ビタミンEは偽薬
- ビタミンE・セレンともに偽薬(プラセボ)
研究結果は2012年夏に公表される予定でしたが、最新の情報は未確認です。
