聴覚神経障害(聴覚ニューロパチー)とは何か

概要

聴覚神経障害(聴覚ニューロパチー、別名:聴覚不協調)は、内耳は音を正しく受け取るものの、脳がその信号を適切に認識できない聴覚障害です。多くは難聴を伴い、言語の理解や話し方に影響を与えます。

歴史

1970年代後半、医師は音に対する異常な聴性脳幹反応を示す患者群を認識し始めました。しかし、内耳内の活動を測定できる新技術が登場した1980年代になって初めて「聴覚神経障害」として定義されました。1996年には、内耳機能は正常で脳の反応が異常であることが正式に診断基準として確立されました。

原因

正確な原因は不明ですが、内耳の有毛細胞(音情報を脳へ伝える)に損傷が起きることが多いと考えられています。外有毛細胞(音を増幅する)は通常正常に機能しますが、内有毛細胞やそれらと神経の接続部が障害されることがあります。

リスク要因

遺伝的要因が関与することもあり、家族性に遺伝するケースがあります。また、出生時の酸素不足、重度黄疸、免疫系疾患、感染症、チャルコ・マリー・トゥース症候群やフリードライヒ運動失調症などの神経疾患もリスクとされています。

診断

新生児の聴覚スクリーニングで早期に発見されることがありますが、従来の検査で見逃され、成長とともに症状が現れることもあります。疑いがある場合、耳鼻科医は耳音響放出(OAE)と聴性脳幹反応(ABR)を測定します。聴覚神経障害ではOAEは正常でもABRが異常となります。

予後

乳児期に診断された場合、聴覚が改善すれば言語発達が正常に近づくことがありますが、改善しないケースもあります。症状が進行し外有毛細胞が機能しなくなることもあり、成人では聴力の安定、変動、または悪化が見られます。

治療

補聴器、人工内耳、周波数変調(FM)システムなどが用いられますが、効果は個人差が大きいです。幼児には手話を最初のコミュニケーション手段として教えることが推奨され、言語がある程度発達した子どもや成人にはリスニングやリーディングリップなどの訓練が有効です。

脳・神経系 - 関連記事