高トリグリセリドとエストロゲン錠の併用がもたらすリスク
体内のエストロゲンと脂質(脂肪)は密接に関係しています。エストロゲンは善玉コレステロール(HDL)を増やす一方で、トリグリセリドの量も上昇させます。そのため、トリグリセリドが高い状態でエストロゲン錠を服用すると、冠動脈性心疾患や高脂血症、メタボリックシンドロームなどの心血管リスクが増大します。
冠動脈性心疾患
2003年にシンシナティのユダヤ病院ヘルスアライアンスが実施した観察研究("Hypertriglyceridemic Acute Pancreatitis…")では、エストロゲン錠を使用したホルモン療法(HT)は、トリグリセリドが高い女性に禁忌とされました。トリグリセリドが500 mg/dL以上の女性はエストロゲン錠を服用すべきでなく、300 mg/dL程度の女性はまずトリグリセリドを正常化してからHTを開始すべきと結論付けられました。同研究は、エストロゲンと高トリグリセリドの併用が脳卒中や心血管疾患の危険性を高めることを示しています。米国心臓学会誌に掲載された別の研究("Estrogens, Lipids and Cardiovascular Disease: No Easy Answers")でも同様の結果が報告され、エストロゲンはHDLを上昇させるものの、トリグリセリドの増加がリスク要因となります。
高脂血症
高脂血症は血中の脂質(コレステロールやトリグリセリド)が過剰になる疾患です。国際腎臓学会が発表した研究("Estrogen Effects on Triglyceride Metabolism in Analbuminemic Rats")では、エストロゲン投与がHDLを増加させLDLを低下させる一方、トリグリセリドを顕著に上昇させることが示されました。特に、ハイパーリピディア素因を持つラットにエストロゲンを投与すると致命的な状態に陥ることが確認され、同様のリスクがヒトの女性にも当てはまる可能性が指摘されています。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、肥満・運動不足・高脂肪食・LDL増加・HDL低下・高トリグリセリドなど複数の危険因子が重なり合う状態で、心血管疾患のリスクを高めます。Lipid Clinicの情報によれば、エストロゲン錠はトリグリセリドを上昇させるため、既に他の危険因子を抱える人は特に注意が必要です。エストロゲン錠の使用を検討している場合は、必ず医師と相談し、血中脂質の管理や生活習慣の改善を併せて行うことが重要です。
