小児における家族性地中海熱の概要
原因と語源
家族性地中海熱は16番染色体のMEFV遺伝子変異が原因です。MEFV遺伝子は炎症調節タンパク質「ピリン」をコードしており、ピリンが欠乏すると炎症反応が制御不能になります。地中海沿岸のアラブ系やユダヤ系、アルメニア系に多く見られることから「地中海熱」と呼ばれています。
小児の主な症状
全身性炎症を引き起こすため、症状は多様です。最も頻繁に報告されるのは腹痛で、80%以上の患者が経験します。胸痛や関節炎は40%以上、筋肉痛、皮疹、再発熱、男性の場合は陰嚢腫脹は3〜12%です。腎臓や肝臓の合併症はまれです。
診断
診断は他疾患の除外が基本です。血液検査で炎症マーカーや特定のタンパク質の変動を確認し、発作時に異常が見られることがあります。染色体解析や遺伝子検査でMEFV変異を確認すれば確定診断が可能です。
小児に対する治療
遺伝性疾患であるため根本的な治癒法はありませんが、症状緩和が目的です。発作時は抗炎症薬で炎症を抑えます。特にコルヒチンは発作の頻度と重症度を大幅に減少させ、生活の質を向上させます。コルヒチンの作用機序は完全には解明されていませんが、長期的な使用が推奨されます。
予後
適切な治療を継続すれば、子どもはほぼ通常通りの生活を送れます。合併症や死亡例は稀ですが、まれに腎臓や腸の障害が起こることがあります。コルヒチンと必要に応じた抗炎症薬の併用で、長期にわたり症状をコントロールできます。
