前立腺がんの放射性シード療法
前立腺がんは、男性の精液を産生するくるみ形の腺にがん細胞が増殖することで起こります。がんの進行速度はタイプによりまちまちで、ゆっくり増えるものもあれば、急速に広がるものもあります。治療法は手術、放射線療法、ホルモン療法など多数あり、最適な選択は医師と患者の協議で決めます。その中でも、合併症が少なく高い治癒率を示す「放射性シード療法(内部放射線治療、ブラキセラピー)」が注目されています。
放射性シード療法とは
放射性シード療法は、放射性物質を封入した小さなシード(種子)を前立腺内に埋め込み、数か月にわたってがん細胞を殺す放射線を局所的に照射する方法です。外部からの高エネルギービームに比べ、腫瘍部位に高線量を持続的に届けられる点が特徴です。
治療の手順
手術は全身麻酔下で行われ、超音波ガイド下に針を用いてシードを前立腺に配置します。シードは米粒大で、通常40〜100個を会陰部(陰茎と肛門の間)から挿入します。手術時間は1〜2時間で、ほとんどの患者は当日退院し、数日で日常生活に戻れます。シードは前立腺内に数か月間留まり、その間に放射線を放出します。
適応患者
放射性シード療法は、低侵襲で合併症リスクが低いことから、全身状態が高齢者や手術が難しい患者に適しています。また、腫瘍が小さく局所に限局している若年患者でも有効です。
治療効果
1992〜2004年にフロリダ州タンパ地域の泌尿器医療センターで実施された12年にわたる研究(対象1,380例)では、臓器内に限局した高リスク患者の治癒率は放射性シード療法で88%、手術では43%と大きく差がありました。低リスク患者ではシード療法の治癒率が99%、手術が97%と、いずれも高い効果が確認されています。
リスクと副作用
- 排尿障害(頻尿、疼痛性排尿、尿流の遅さ)
- 勃起不全
- 直腸症状(下痢や不快感)※外部放射線に比べ軽度
- 放射線の漏れは極めて稀で、医師は子どもや妊婦からは最低でも1.8メートル離れるよう勧めることがあります。シード内の放射能は約1年でほぼ消失します。
