水を介して広がる代表的な感染症とは
水系の汚染により引き起こされる感染症は、病原微生物が汚れた水を介して人に伝播することで発症します。以下に、代表的な水媒介性疾患を紹介します。
1. コレラ
原因菌はビブリオ・コレラ菌(Vibrio cholerae)で、激しい下痢と嘔吐を伴う急性腸炎です。脱水と電解質バランスの崩れが致命的になることがあります。
2. 腸チフス
サルモネラ・エンテリカ・血清型チフス(Salmonella enterica serovar Typhi)が原因で、全身性の感染症です。高熱、頭痛、腹痛、下痢または便秘が主な症状です。
3. A型肝炎
ウイルス性肝炎の一種であるA型肝炎ウイルス(HAV)は、汚染された水や食物を介して感染します。倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛、濃い尿、黄疸(皮膚や眼球の黄変)などが現れます。
4. ギアジア症
微小寄生虫ジアルジア・インテスタリス(Giardia intestinalis)が原因で、 watery diarrhea, 腹部痙攣、ガス、悪心、嘔吐といった症状が出ます。
5. クリプトスポリジウム症
クリプトスポリジウム属の寄生虫が腸内で増殖し、 watery diarrhea、腹痛、悪心、嘔吐、発熱を引き起こします。
6. 赤痢
志賀菌や溶連菌、エンテロモラ・ヒストリチカなどが原因となり、血液や粘液を伴う激しい下痢、腹痛、発熱、脱水を特徴とする腸の炎症性疾患です。
7. 大腸菌感染症
大腸菌(Escherichia coli)は汚染水を通じて胃腸炎や尿路感染を引き起こすことがあります。下痢、嘔吐、腹痛、発熱が主症状です。
8. ロタウイルス感染症
特に幼児に多く見られるロタウイルスは、激しい下痢、嘔吐、発熱、脱水を伴う胃腸炎を引き起こします。
9. レプトスピラ症
レプトスピラ属の細菌が汚染水や土壌に存在し、感染すると発熱、寒気、筋肉痛、頭痛、嘔吐、下痢が現れます。重症例では腎不全や肝不全に至ることがあります。
10. トラコーマ
クラミジア・トラコマチスが汚染水や不十分な衛生環境で広がり、結膜炎(トラコーマ)を引き起こします。繰り返し感染すると角膜が瘢痕化し、失明に至ることがあります。
安全な飲料水の確保、適切な衛生設備の整備、そして個人の手洗いや食品の適切な処理といった衛生習慣が、水媒介性疾患の拡大防止に不可欠です。
