中毒に対するドーパミン治療
人体はコンピュータに例えられ、脳がマザーボードのように全身に信号を送ります。脳は神経伝達物質と呼ばれる化学物質を分泌し、体の各部位に指示を出すことで、身体的・精神的刺激に対する反応を調整しています。その中でも特に注目されているのがドーパミンです。ドーパミンは感情・運動・動機付けをバランスさせ、快感をもたらす役割を持ち、薬物依存症の治療に有望とされています。
ドーパミンの基礎知識
ワシントン大学のエリック・H・チャドラー博士によると、脳で生成された神経伝達物質が体内の受容体に届くことで、私たちの行動や反応が決まります。ドーパミンは脳内の多数の領域に存在し、感情・運動・やる気の調整や快感の生成に関与しています。
ドーパミンは依存症の治療に使えるか
ドーパミンはパーキンソン病など様々な疾患の治療にも利用されています。体内には D1 と D2 の二種類のドーパミン受容体があり、特に D2 受容体は依存症と強く結びついています。D2 受容体は「またやりたい!」という快感信号を脳から受け取り、繰り返し使用を促すため、依存形成の主要因となります。
2007年4月に発表された『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』の研究では、D2 受容体と薬物依存症(特にコカイン)との関係が示唆されました。この結果は、ドーパミンが他の依存症にも応用できる可能性を示しています。
依存症治療にドーパミンを活用するには、D2 受容体への快感シグナルを遮断する薬剤が必要です。2009年時点では、ドーパミンが依存症治療に有効であることを確認するためのさらなる研究が求められています。
