中等度の乳様突起炎
乳様突起炎(mastoiditis)とは、耳の後方にある乳様突起骨の空気細胞が感染した状態を指します。乳様突起の空気細胞は小さな空洞で、通常は空気で満たされていますが、感染が起こると炎症が広がり、放置すると命に関わる重篤な合併症を引き起こすことがあります。
症状
- 耳の後ろや乳様突起部の痛み・腫れ
- 最近の耳感染症や中耳炎の既往歴
- 発熱やイライラ感
- 進行すると耳からの滲出液が増加
- 症状は感染開始から数日後に顕在化することが多い
原因
- 中耳炎や上気道感染が乳様突起の粘膜へ広がり、細菌が骨に侵入することが主な原因です。
- 特に再発性の中耳炎を繰り返す小児は、細菌がすでに中耳に存在しているためリスクが高くなります。
- 早期に中耳炎を適切に治療すれば、乳様突起炎の発症リスクを低減できます。
診断
- 症状が出たらまず耳鼻科医を受診し、他の疾患と鑑別します。
- 耳鏡検査で鼓膜の状態を確認し、鼓膜の動きを評価するために空気を吹き込みます。
- ティンプノメトリー検査で中耳の機能を測定し、必要に応じて頭部X線、血液検査、感染部位からの培養検査を行います。
治療
- 中等度の乳様突起炎は、経口または静脈投与の抗生物質で治療し、入院して経過観察を行います。
- 抗生剤だけで炎症が収まらない場合は、中耳の液体を排出するドレナージ手術が必要です。
- 重症例では、感染した骨を除去する外科手術(乳様突起切除術)が行われます。
リスク・合併症
- 感染が脳へ拡がると髄膜炎を引き起こす恐れがあります。
- 脳膿瘍のリスクもあり、膿や感染性物質が脳内にたまる可能性があります。
- いずれも生命に関わる重篤な合併症であるため、早期治療が不可欠です。
