中耳のグロムス腫瘍(グロームス腫瘍)の概要と治療法
最近、耳の聞こえが悪くなったり、脈動性の音が聞こえるようになった場合、グロムス腫瘍(パラガングリオーマ)が原因かもしれません。悪性になることは稀ですが、症状や治療法を正しく理解しておくことが大切です。
診断
グロムス腫瘍は、耳鏡検査で鼓膜上に赤みを帯びた丸い腫瘤として確認できることがあります。疑いがある場合は、CTやMRIで詳細な画像診断を行います。確定診断は組織検査(生検)で得られますが、生検は腫瘍除去手術とほぼ同じ手順になるため、診断が確定したら直接手術に移ることが一般的です。
症状
主な症状は難聴です。腫瘍が中耳を占拠することで音が伝わりにくくなります。また、腫瘍内の血流により脈動性の耳鳴り(ティンナイタス)を感じることがあります。腫瘍が大きくなるとめまいや顔面神経の圧迫による顔面麻痺が起こることもあります。稀にホルモンを分泌し、頭痛・発汗・潮紅・心拍数増加などの全身症状を呈することがあります。
原因
グロムス腫瘍は、神経細胞の一種であるパラガングリウスが異常増殖してできる腫瘍です。遺伝的素因がある場合と、特に原因が見つからない散発性(スポラディック)があります。女性に多く、40代〜50代で発症するケースが多数です。また、低地に住む人に発症リスクが高まるという報告もあります。
治療
ほとんどのグロムス腫瘍は外科的に除去します。中耳に限局したグロムス腫瘍(グロムス・ティンパニクム)は、外来手術で鼓膜を一時的に持ち上げて耳道から切除するか、後頭部からアプローチして除去します。腫瘍が中耳以外に広がっている場合は、より侵襲的な手術が必要です。
放射線療法は腫瘍の増殖を抑えることはできますが、完全に消失させることはできません。小さな腫瘍で手術を希望しない場合に選択肢となりますが、放射線による線維化が将来の手術を難しくする点に注意が必要です。腫瘍が小さく増殖が緩やかな場合は、定期的なMRI検査で経過観察し、必要に応じて手術を検討するという方法もあります。
