黄斑変性治療への実験的がん薬の利用

黄斑変性は、中心部の視力が徐々に低下する「乾性」と、視覚がゆがむ「湿性」の二つのタイプがある疾患です。乾性は治療法が確立されておらず、時間とともに痛みなく視力が悪化します。一方、湿性は血管新生が進行しやすく、視力低下が速く現れます。

ベバシズマブ(商品名:Avastin)

大腸がんなどの治療に用いられる抗血管新生薬で、眼内投与が「オフラベル」使用として検討されています。RXLISTによると、使用者の約2.4%に腸穿孔のリスクがあります。2009年に「Drugs and Aging」に掲載されたZiemssenらのレビューでは、2005年6月1日から2008年7月31日までの511件の報告のうち33件がベバシズマブの有効性を示しましたが、対照群が不十分でランビズマブ(商品名:Lucentis)との比較結論は出せませんでした。また、安全性に関する懸念も指摘されています。

抗血管新生薬

がん細胞の増殖を抑える目的で開発された薬剤ですが、湿性黄斑変性の治療にも応用が期待されています。ランビズマブとペガプチニブは、がん治療薬ではないものの、視力低下の進行抑制や視力改善の可能性が報告されています。2008年5月の「Health Technology Assessment」レビュー(Colquittら)でもこれらの効果が検討されています。

メトトレキサート(商品名:Trexall)

高い抗腫瘍効果を持つ薬剤で、重篤な副作用が伴いますが、難治性黄斑変性に対する眼内注射の試みが報告されています。2009年7月21日付「Acta Opthamologica」に掲載されたKurupらの研究では、メトトレキサートの眼内投与が検討されました。

2019年11月時点で、がん薬を用いた黄斑変性治療の実験的臨床試験は43件が募集されています。

目と視力障害 - 関連記事