概要
加齢性黄斑変性症(AMD)は、世界中で数百万人が罹患している加齢に伴う眼疾患です。網膜の中心部である黄斑が障害され、中心視力が低下します。完全に視力が失われることは稀ですが、視野の中心にぼやけた盲点ができ、運転や読書、細かい作業、顔認識などに支障が出ます。最も一般的なタイプは乾性黄斑変性で、主に50歳以上の人に見られます。
リスク要因
年齢以外にも以下の要因がリスクを高めます。
- 白人女性に多く見られる遺伝的要因
- 喫煙(リスク50%増)
- 肥満
- 薄い色の眼(青・緑)
- 亜鉛や抗酸化ビタミンの不足
- 心血管疾患の既往
原因
正確な原因は不明ですが、加齢に伴う網膜の代謝機能低下が関与すると考えられています。老化により老廃物が蓄積し、黄斑部の細胞が障害されます。AMDは以下の3段階に分けられます。
- 早期:黄斑に異常があるが視力低下はない
- 中期:老廃物が増え、中心視力がややぼやけ、読書時に光が必要になる
- 末期:老廃物が大量に蓄積し、中心視野に明確なぼやけや盲点が出る
通常は片目から始まり、やがて両眼に広がります。
症状
症状は徐々に現れ、痛みは伴いません。主な兆候は以下の通りです。
- 暗所での視力低下や光量の増加が必要
- 文字や細部がぼやける
- 色彩の鮮やかさが低下
- 顔や人物の認識が困難になる
- 視界全体がかすむ、または中心に盲点ができる
- 進行するとチャールズ・ボネット症候群として、幾何学模様や顔、動物などの視覚幻覚が現れることがある(認知症とは無関係)
治療と薬剤
米国国立眼研究所の「加齢性眼疾患研究(AREDS)」によれば、以下のサプリメントを毎日摂取すると、病気の進行リスクを最大25%低減できるとされています。
- ビタミンC 500 mg
- ベータカロテン 15 mg
- ビタミンE 400 IU
- 銅 2 mg
- 亜鉛 80 mg
乾性黄斑変性は、いつでも急速に進行する湿性タイプに変わる可能性があるため、定期的な検査が重要です。
生活の工夫(対処法)
生活習慣の見直しで視力低下と上手く付き合うことができます。
- 外出時は同行者と行動し、移動サポートを受ける
- 必要に応じて適切な眼鏡や拡大鏡を使用する
- 夜間や悪天候、渋滞時の運転は避ける
- 室内照明は明るくし、読書時の光量を確保する
- 家族や友人に顔認識のサポートを依頼する
- 孤立せず、オンラインや地域のサポートグループに参加する
予防
予防には抗酸化物質を豊富に含む食事が有効です。
- ビタミンA・C・Eを含む食品
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ケールなど)
- 亜鉛や抗酸化サプリメントの摂取
- オメガ‑3脂肪酸が豊富な魚介類
- 定期的な眼科検診と視力変化の早期報告
