女性におけるテストステロンの役割と影響

テストステロンというと男性ホルモンを連想しがちですが、女性の卵巣や副腎でも少量が分泌されています。男性に比べると量ははるかに少ないものの、女性の成長・発達に欠かせない重要なホルモンです。北米更年期学会(2005年)の報告によれば、女性のテストステロンは20歳前後でピークに達し、40歳に近づくにつれて徐々に減少します。

体脂肪とテストステロン

更年期前後の女性は、特に腹部に脂肪がつきやすくなると訴えることが多いです。内臓脂肪と呼ばれるこの深部脂肪は、心臓病や動脈硬化のリスクを高めます。Rush University Medical Center(2009年)の研究では、更年期前後(±6年)の女性で「活性化」されたテストステロンのレベルが上昇し、それが内臓脂肪の増加と相関していることが示されました。

骨密度への影響

閉経後の女性は骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。ホルモン補充療法にテストステロンを加えると、骨密度の改善効果が期待できます。Prince Henry 医学研究所の研究では、エストラジオールとテストステロンの併用インプラントが、エストラジオール単独に比べて股関節と腰椎の骨ミネラル密度を有意に高めることが確認されました。

性欲への影響

閉経後に性欲が低下する原因の一つに、テストステロンの減少が挙げられます。2004年にBioSante Pharmaceuticalsが実施した二重盲検試験では、低用量テストステロンを皮膚パッチ(LibiGel)で投与した女性の性活動が統計的に有意に増加したことが報告されています。

コレステロールと心血管リスク

米国更年期学会によると、経口テストステロン療法は女性のHDL(善玉)コレステロールを低下させる可能性があります。HDLは肝臓へコレステロールを運び、胆汁として排泄する働きがあり、心血管系の健康維持に重要です。一方、LDL(悪玉)コレステロールは血管壁に沈着し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。HDLが低下すると、これらのリスクが増大します。

テストステロン治療のリスク

テストステロン療法には、血栓、痙攣、肝炎など稀ながら重篤な副作用が報告されています。DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)サプリメントを服用中の女性は、治療開始前に必ず医師に相談してください。また、現在使用中の処方薬や市販薬をすべて医師に伝えることが重要です。

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