閉経期の血管運動症状(ホットフラッシュと夜間発汗)
閉経の定義
閉経とは、卵巣機能の低下により月経が永久に停止する状態で、最後の月経から12か月経過した時点で診断されます。卵巣機能が徐々に低下し始める期間は「周経期(ペリメノポーズ)」と呼ばれ、最後の月経から12か月以上経過した状態を「閉経後期(ポストメノポーズ)」と呼びます。自然閉経のほか、放射線治療、薬剤、卵巣摘出術や子宮摘出術などの手術によっても起こります。
閉経の生理学的変化
周経期にはさまざまな変化が起こります。最も顕著なのは月経周期の変化で、周期が短くなったり、出血量が不規則になったりします。卵胞の数が減少し、卵子の供給が減ります。ホルモンでは、卵胞刺激ホルモン(FSH)が上昇し、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が変動します。プロゲステロンは徐々に低下し、エストロゲンは周経期の最後の6〜12か月で一時的に上昇した後、永続的に減少します。エストロゲンが低下すると子宮内膜が維持できず、月経が止まります。
ホットフラッシュ(熱感)
ホットフラッシュは、急に体が温まる感覚が短時間で訪れ、すぐに収まる現象です。軽いほてりから、汗を伴う激しい熱感まで様々です。ストレス、アルコール、カフェイン、高温、辛い食べ物や熱い飲み物などが引き金になることがあります。通常、周経期の終わりから閉経後にかけて出現し、2年から10年続くことがあります。頻度は年に数回から1日に数回まで個人差があります。
夜間発汗
夜間発汗は睡眠中に起こるホットフラッシュで、大量の汗をかくことが特徴です。寝具が濡れるために起きてシーツを替えることもあり、睡眠が中断されるため、翌日の疲労感やストレスが増大します。
血管運動症状の原因
血管運動症状は卵巣機能低下と同時期に現れますが、エストロゲンと体温調節中枢の関係は完全には解明されていません。体温の設定点が急激に変化することが症状の根底にあると考えられますが、エストロゲンがその設定点に与える影響は不明です。エストロゲンが低い全ての女性がホットフラッシュを経験するわけではなく、妊娠中(エストロゲンが高い)に症状が出ることもあります。また、文化や生活習慣の違いにより、血管運動症状を全く経験しない女性集団も報告されています。
影響と対策のポイント
多くの女性にとっては軽い不快感に留まりますが、睡眠障害や仕事・日常生活への支障が大きい場合もあります。血管運動症状は甲状腺疾患、てんかん、ホルモン産生腫瘍、白血病、アレルギー性疾患など、閉経以外の疾患のサインでもあり得ます。症状が長期間続く、悪化する、または生活に支障をきたす場合は、専門医に相談し適切な評価と治療を受けることが重要です。
