視床下部から分泌されるホルモンは動脈を通って下垂体へ運ばれるのか?
結論
視床下部から分泌される調節ホルモンは動脈血を経由しません。視床下部‑下垂体門脈系という特殊な血管ネットワークを通って、直接前葉下垂体へ運ばれます。
視床下部‑下垂体門脈系の仕組み
1. 視床下部からの放出ホルモン
視床下部は、前葉下垂体のホルモン分泌を制御する「放出ホルモン(RH)」と「抑制ホルモン(RIH)」を産生します。
2. 門脈系の血管構造
視床下部の毛細血管は「穴が開いた(fenestrated)毛細血管」で、通常の毛細血管よりも物質の通過が容易です。これらは「一次毛細血管叢」を形成し、放出ホルモンが血流に乗ります。
3. 視床下部‑下垂体静脈
一次毛細血管叢は小さな静脈(視床下部‑下垂体静脈)に合流し、放出ホルモンと抑制ホルモンを前葉下垂体へ運びます。
4. 二次毛細血管叢
この静脈は前葉下垂体内の「二次毛細血管叢」に流れ込みます。二次毛細血管も穴が開いた構造で、ホルモンが血管外へ拡散しやすくなっています。
5. 標的細胞への作用
放出ホルモン・抑制ホルモンは前葉下垂体の特定受容体に結合し、下垂体ホルモンの分泌を刺激または抑制します。
門脈系の利点
門脈系を利用することで、視床下部は血流に希釈されることなく、迅速かつ高精度に下垂体ホルモンの分泌を直接調節できます。動脈血に依存しないため、ホルモン濃度の制御がより正確に行われます。
