電離放射線の生物学的効果(BEIR)

放射線とはエネルギーがある物体から別の物体へと移動する現象です。原子力やX線など、私たちが一般にイメージする放射線はほとんどが電離放射線で、原子や分子から電子をはぎ取る能力があります。電離放射線が体内の細胞に当たると、細胞構造が損傷し、最悪の場合は細胞死に至ります。低線量であれば細胞は修復・再生しますが、修復が追いつかないほどの細胞死が起こると、生命に危険を及ぼすことがあります。

影響

  • 電離放射線は細胞の機能を変化させずに構造だけを変えることもあれば、軽微な損傷が起こり修復されることもあります。染色体の一部損傷でも修復可能です。しかし、損傷が重く修復できない場合、細胞は異常増殖したり、周囲組織に悪影響を与えることがあり、これががんの主な原因の一つです。

急性線量

  • 線量は「rad」で表され、細胞への損傷量を示します。数時間〜数日で10 radを超える線量を「急性線量」と呼びます。100 rad以上の急性線量に曝露すると放射線症が起こります。450 radの急性線量は、医療介入が無い場合、60日以内に死亡率が50%に達します。

慢性線量

  • 慢性線量は長期間にわたり少量ずつ受ける放射線で、主に放射線作業者に見られます。体は軽微な損傷を修復できるため、慢性線量による影響は急性線量に比べて軽いことが多いです。ただし、確率的な要素が大きく、正確なリスクは統計的にしか予測できません。一般に、放射線量が増えるほどがん発生確率は高くなります。

放射線の影響(体細胞効果)

  • 即時に現れる影響は「体細胞効果」と呼ばれ、急性線量での脱毛や皮膚障害などが含まれます。遅延した体細胞効果は慢性線量に起因し、がんや白内障などが代表例です。

遺伝的欠損

  • 放射線は生殖細胞に損傷を与え、次世代に遺伝的欠損をもたらすことがあります。植物や動物は人間よりも感受性が高い傾向があります。遺伝的欠損の例としては、成長障害、知的障害、早期発癌などがあります。

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