シェーグレン症候群と全身麻酔
シェーグレン症候群は自己免疫疾患で、免疫細胞が自分の体内の外分泌腺(涙腺や唾液腺など)を攻撃します。主に40代後半の女性に多く見られ、完治法はなく寛解も期待できません。そのため、治療は症状のコントロールが中心です。
シェーグレン症候群の症状
涙腺や唾液腺の分泌が減少するため、目や口の乾燥が代表的な症状です。その他、鼻・膣・皮膚の乾燥も見られます。
避けるべき薬剤
全身麻酔時に使用すべきでない薬は、抗コリン作用を持つものです。これらは乾燥症状をさらに悪化させます。代表的な薬剤はアトロピン、グリコピロリド、ジフェンヒドラミンです。
全身麻酔とステロイド
症状が重い患者は免疫抑制目的でコルチコステロイドを服用していることがあります。手術によるストレスはステロイドの代謝に影響するため、全身麻酔前に「ストレス用」用量(通常量よりやや少なめ)に調整することが推奨されます。
手術室・回復室の環境
乾燥を防ぐため、手術室の温度をやや高めに設定し、加湿器を使用します。また、気管チューブの挿入時は十分に潤滑し、術後は十分な水分補給と人工涙液の投与で目や口の乾燥を防ぎます。シェーグレン患者はレイノー現象を併発しやすいため、末梢循環を保つ温度管理が重要です。
手術中の留意点
しばしば併発する線維筋痛症や関節炎により関節が硬直しやすく、体位変換が困難になることがあります。手術チーム全体で患者の位置決めを慎重に行い、無理な力がかからないよう配慮することで、術中覚醒のリスクを低減します。
