インフルエンザ検査の概要と最新動向
検査の種類と目的
臨床検査は大きく「スクリーニング検査」「診断検査」「治療検査」の3つに分かれます。スクリーニングは患者や集団に対し特定の疾患の有無を迅速に調べるもので、診療所や救急部、健康フェアなどで実施されます。診断検査はより高度な検査室で行われ、精度が高く病原体の種類や株まで特定します。治療検査は治療効果の判定や抗ウイルス薬への耐性を評価するために実施され、診断検査と同等の複雑さがあります。
インフルエンザ感染のスクリーニング
発熱・咳・咽頭痛などインフルエンザ様症状がある患者に対し、まずは鼻咽喉部の粘膜を綿棒で採取します。検体は化学処理でウイルスを抽出し、インフルエンザ抗体と反応させます。抗体がウイルスに結合すると色や濁りが変化し、約15分で陽性・陰性が判定できます。この方法はウイルスの有無とA型かB型かを判定できますが、株情報は得られません。
インフルエンザの診断検査
ウイルスの株を特定するにはリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が主流です。検体からウイルスRNAを抽出し、既知のウイルス「指紋」と比較して型と株を同定します。PCRで株情報が得られない場合は、ウイルスを培養して顕微鏡観察するなど、より高度な検査が行われます。指紋が未知の場合は「新型」ウイルスと呼ばれ、2009年のH1N1(豚インフルエンザ)もこれに該当しました。
インフルエンザの治療検査
治療検査では、抗ウイルス薬に対する耐性ウイルスの有無を調べます。PCRや培養によって検出されたウイルスの遺伝子変異を既知の耐性変異と比較し、適切な薬剤選択を支援します。
留意点
スクリーニング検査で陰性でもインフルエンザを完全に除外できるわけではありません。検査の感度や手技ミスにより偽陰性が生じることがあります。一方、診断・治療検査は熟練した技術者が実施するためエラーは少なく、最終的な診断は医師が症状・検査結果を総合して判断します。
検査の将来像
医療技術は日々進化しており、将来的には誤差が少ない高感度スクリーニングや、現場持ち運び可能なPCR・培養装置が実用化される見込みです。大量感染が発生した際にも、危険な検体を遠距離へ輸送せずに迅速に診断できるようになるでしょう。未知の技術がさらに登場する可能性も残されています。
