腎不全の合併症と対策
腎不全(腎臓病)は、腎臓の機能が低下した状態を指します。背中の中部に左右対称に位置する豆状の臓器で、血液中の老廃物を除去し、尿として排泄する重要な役割を担っています。その機能が障害されると、全身の臓器に影響が及びます。
腎不全のタイプ
腎不全は大きく分けて急性腎不全(AKI)と慢性腎不全(CKD)の2種類があります。
急性腎不全(AKI)
数日から数週間の比較的短期間で腎機能が急激に低下します。主な症状は四肢のむくみ、体重増加、吐き気・嘔吐、痙攣、昏睡です。肺水腫や濃い茶色の尿が見られることもあります。
慢性腎不全(CKD)
数年にわたり徐々に腎機能が低下し、軽度から重度まで段階的に進行します。末期になると腎機能が10%未満に低下し、末期腎疾患(ESRD)へと移行します。軽度・中等度の段階では夜間頻尿程度の症状しか現れませんが、進行すると尿毒症に伴う食欲不振、意識混濁、倦怠感、嘔吐、痙攣などが出現します。
原因
急性腎不全の原因
敗血症や急性腎盂腎炎などの感染症、腎血管の血栓、やけどや外傷による低血圧、出血、脱水、尿路結石や膀胱がん・前立腺肥大による尿路閉塞などが挙げられます。
慢性腎不全の原因
心疾患、糖尿病、高血圧が最も一般的な原因です。特に心疾患はCKD患者の主要死因とされています。家族歴、糖尿病、心血管疾患、高血圧、60歳以上、特定の人種(アフリカ系アメリカ人、アジア系、ネイティブアメリカン、メキシコ系、太平洋諸島系)もリスク要因です。
診断
診断は尿検査と血液検査から始まります。血清クレアチニンや血中尿素窒素(BUN)の上昇は腎機能低下を示します。超音波検査や腎生検も行われます。検査結果を基に糸球体濾過率(GFR)を算出し、腎機能の評価・ステージ判定、透析や移植の適応を判断します。
治療
まず基礎疾患(糖尿病や高血圧)のコントロールが重要です。食事面ではナトリウム、たんぱく質、カリウム、リン、水分摂取を管理します。貧血は静脈内鉄剤や重症例では輸血で対処します。薬剤は腎機能に合わせて用量調整が必要です。
透析と移植
血液透析
腎機能が生存に必要なレベルを下回った場合、人工腎を用いた血液透析が行われます。腕や脚に瘻(ろう)を作り、血液を循環させて浄化します。透析は自宅、病院、専門センターで実施できます。
腹膜透析
腹腔内にカテーテルを設置し、透析液を注入して老廃物を除去します。自宅で夜間に行うことも可能です。
透析は根本的な治療ではなく、腎移植までの代替療法です。
腎移植
生体または死亡ドナーからの腎臓を移植します。早期に移植が行われれば、透析期間を短縮でき、長期的な予後も改善します。拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤が投与されます。
合併症
長期的な腎不全では心不全、貧血、高血圧、電解質異常、出血、骨折、免疫低下などが頻繁に見られます。透析患者は栄養不良、血管アクセス部位の感染、低血圧、空気塞栓、心膜炎、肺炎などのリスクも抱えます。
予防
糖尿病や高血圧の適切な管理が最も重要です。リスクの高い人は血圧測定と尿中アルブミン検査を定期的に行い、早期の腎障害を検出します。血清クレアチニン測定も併用します。
