溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の診断方法
同定
溶血性連鎖球菌は、通性嫌気性のグラム陽性菌で、直径約0.6〜1.0µmの球形細胞が長鎖状に並びます。運動性はなく芽胞も形成しません。培養には血液を含む肥厚培地が必要です。
一般的な診断
この菌が原因となる疾患は多岐にわたるため、診断手順も様々です。咽頭炎(いわゆる喉の痛み)では、喉の綿棒で採取した標本を血液培地に塗布し、24〜48時間で増殖の有無を確認します。増殖すれば陽性、増殖しなければ陰性と判定します。
培養板上ではβ溶血が認められ、血液寒天がほぼ全体的に透明になるのが特徴です。また、グラム染色を行うと、長鎖状に並んだ紫色の球形細胞(グラム陽性)が観察されます。
迅速診断
迅速咽頭テストは数分で結果が得られるよう設計されています。綿棒で扁桃や咽頭を拭き取り、専用容器に入れると、溶血性連鎖球菌だけに反応する試薬が変色します。陽性反応が出た場合は菌の存在が示唆されます。
視診による診断
猩紅熱や膿痂疹は皮膚症状が典型的で、視診だけで診断可能です。猩紅熱は胸部から始まる鮮やかな赤い発疹で、砂紙のようなざらざらした感触があります。膿痂疹は最初は赤い潰瘍ですが、数日でかさぶたを形成します。壊死性筋膜炎はまず皮膚の変色や腫脹で疑われますが、確定には画像診断や血液検査が必要です。死亡率は30〜40%と高いです。
治療
溶血性連鎖球菌は芽胞を形成しないため、抗生物質で容易に除去できます。第一選択薬はペニシリン系で、ほとんどの感染症に有効です。壊死性筋膜炎の場合は、感染組織の外科的切除が併用されることが多く、迅速な外科的介入が予後改善に重要です。
