前立腺の治療と管理について

前立腺は男性の生殖系の一部で、膀胱の下に位置し、尿道を取り巻く約3〜4cmのくるみサイズの腺です。前立腺は乳白色のアルカリ性分泌液を産生し、精子を取り巻く酸性の液体を中和して運動性を高め、膣内の酸性度を下げることで精子が子宮頸部へ向かって泳ぎやすくします。前立腺の疾患は50歳以上の男性に多く見られます。

前立腺炎(Prostatitis)

前立腺炎は前立腺の炎症で、大腸菌などの細菌感染や尿路感染、性行為感染症が原因となります。主な症状は頻尿・排尿時の灼熱感、尿の滴下や始めにくさ、会陰部の痛みです。

急性細菌性前立腺炎は、通常4週間程度の抗生物質投与で治療します。慢性前立腺炎は治療期間が長く、再発することもあります。

原因不明の慢性前立腺炎や骨盤痛が続く場合、α遮断薬(ウロキサトラル、カルデュラなど)で括約筋を弛緩させ、NSAIDs(アスピリン、イブプロフェン)で疼痛を緩和します。前立腺マッサージが提案されることもありますが、効果は明確ではありません。

良性前立腺肥大(BPH)

良性前立腺肥大は50歳以上の男性に一般的で、前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を引き起こします。症状は尿の勢いの低下、滴尿、残尿感、頻尿・切迫感、時に膀胱痛や失禁です。合併症として膀胱炎や膀胱結石が生じることがあります。

治療は症状の程度に応じて選択します。軽度の場合は、前立腺サイズを縮小させるフィナステリドや、尿道の圧迫を緩和するα遮断薬(フロマックス、カルデュラ)を使用します。薬物で効果が不十分な場合は手術が検討され、代表的な手術は経尿道的前立腺切除術(TURP)です。その他、レーザー前立腺切除、開腹前立腺切除、ラジオ波による組織焼灼(ニードルアブレーション)、尿道ステント留置などがあります。

前立腺がん(Prostate Cancer)

前立腺がんは主に前立腺の外側に発生し、初期には自覚症状がほとんどありません。腫瘍が大きくなると、BPHと同様の排尿障害が現れ、背部痛は転移を示すことがあります。前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)に依存し、血中の前立腺特異抗原(PSA)濃度が腫瘍の大きさや進行度の指標となります。

進行が遅く、症状が軽い場合は「経過観察」だけで済むことがあります。若年層(50〜60歳)では余命が長いため、積極的な治療が推奨されます。主な治療法は前立腺全摘除術(神経温存手術を含む)で、術後に勃起障害や性機能低下が起こることがあります。進行がんでは外部放射線療法やホルモン抑制療法、放射性同位体のインプラントなどが併用されます。

予防と検診

50歳以上の男性は、年に一度の前立腺検診と、排尿パターンの変化に注意することが重要です。

PSA検査

前立腺特異抗原(PSA)検査は腫瘍の増殖を示す指標となりますが、検査だけでがんの有無を確定できないため、過剰診断や不必要な治療につながる懸念があります。FDAは50歳以上の男性に対しPSA検査を承認しており、治療経過のモニタリングにも利用されます。

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