口腔乾燥症(ドライマウス)の対策と治療法
口腔乾燥症(ドライマウス)は、唾液の分泌が減少し口内が乾く慢性状態です。米国歯科医学会(JADA)の2003年のレビューによると、人口の約17〜29%が口腔乾燥症を抱えており、特に女性に多く見られます。原因は多岐にわたり、放置すると口臭、嚥下障害、虫歯などの合併症を招きます。本稿では原因別の対策と治療法をまとめました。
薬剤性の原因
アンフェタミン、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、鼻づまり解消薬、マリファナなど、さまざまな薬剤が唾液分泌を抑制します。
頭頸部への放射線治療や骨髄移植後の合併症、化学療法も口腔乾燥を引き起こすことがあります。
疾患性の原因
自己免疫疾患のシェーグレン症候群は、口と目の乾燥を特徴とし、ドライマウスの主な原因です。シェーグレンは、全身性エリテマトーデスや関節リウマチと併発することがあります。
血糖コントロールが不十分な糖尿病患者でも口腔乾燥が頻繁に報告されています。
合併症
口腔乾燥は不快感だけでなく、口臭、会話・咀嚼・嚥下障害を引き起こします。唾液は歯のエナメル質を保護するため、乾燥により虫歯リスクが上昇します。
義歯使用者は痛みや炎症が増し、口腔カンジダ症や歯周病のリスクも高まります。
根本的治療
まずは原因となる薬剤や疾患を特定し、可能であれば薬剤の変更・減量を検討します。抗ヒスタミン薬や鼻づまり解消薬は代替薬に切り替えると効果的です。
古い三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、アモキサピン、イミプラミン)は乾燥を強く誘発しますが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:シタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン)への変更で症状が改善することがあります。
対症療法
こまめに水や無糖飲料を摂取し、氷片を口に含むと唾液分泌が刺激されます。無糖ガムや無糖キャンディは、特にキシリトール配合のものが口内細菌の増殖を抑制し有効です。
カルボキシメチルセルロースを含む人工唾液代替製品(のど飴、うがい薬、スプレー、スワブ)を使用すると、潤いを保ちつつ唾液腺の刺激が期待できます。アルコール含有のうがい薬は乾燥を悪化させるため避けましょう。
代替・薬理的治療
2003年のJADA論文は、針灸が口腔乾燥症の改善に有効であるとする3件の研究を紹介しています。
唾液腺分泌を促進する薬剤として、ピロカルピン(サラゲン)やセビメリン(エボサック)が使用されます。
酸化グリセロール三エステル(アクアロール)は口腔内をコーティングし、潤いを保持します。
生活上の留意点
口腔乾燥症患者は虫歯や歯周病予防のため、ブラッシングとフロスを徹底し、食後はうがいを行うことが重要です。糖分やデンプン質の高い食品は、すぐに歯を磨けない場合は控えましょう。
歯科医はシーラントやトッパー型フッ化物の適用、フッ化物入りのチューイングタブレットやジェル、うがい薬の使用を勧めることがあります。
