側頭動脈炎の事実
側頭動脈炎は、側頭部の動脈の血管壁が損傷し炎症を起こす疾患です。巨細胞性動脈炎の一種で、首や上半身の大きな動脈に炎症が広がります。これらの血管は心臓から全身へ酸素を運ぶ重要な役割を担っています。症状の重さにより痛みが強くなることがありますが、適切な治療により比較的容易に管理できます。
原因
側頭動脈炎の明確な原因は分かっていませんが、最も広く受け入れられている説は免疫系の異常です。年齢・人種・性別などもリスク要因となります。特に北欧系の女性に多く、50歳未満では稀です。また、多発性筋痛症を合併している患者にも頻繁に見られ、炎症性疾患を持つ人の約50%で発症します。
診断方法
診断はまず医師が頭部を診察し、動脈の膨らみや脈拍の弱さを確認します。これだけで診断できない場合は、血液検査でヘモグロビン、肝機能、沈降速度(ESR)を測定します。確定診断は、影響を受けた動脈の生検で組織を検査するしかありません。
症状
- 発熱、筋肉痛(特に朝方)
- 倦怠感、頭痛、顎の痛み
- 体重減少、食欲不振
- 視力障害、過度な発汗、歯茎出血
- 関節硬直、聴力低下
- 眼筋麻痺、呼吸器症状、神経痛(約40%)
治療
治療は組織損傷のリスクを減らし、痛みを和らげることが目的です。アスピリンなどの鎮痛剤で筋肉・関節・頭部の痛みを軽減し、ステロイドで血管の炎症を抑えます。免疫系の異常が原因と考えられるため、免疫抑制剤が処方されることもあります。
合併症
治療が不十分、適切でない、または遅れると、以下のような重篤な合併症が起こり得ます。
- 眼筋の弱化や眼への血流低下による失明
- 大動脈瘤などの動脈瘤
- 血栓形成による脳卒中または一過性虚血発作(TIA)
- 冠動脈炎による胸痛
