細かな運動制御を高める作業療法エクササイズ
脳卒中や頭部外傷などの神経障害は、手や指の微細な動きを司る細かな運動機能を失わせます。細かな運動は、脳・筋肉・骨格が協調して初めて成立するため、日常の書字や食事、身支度といった繰り返し行う動作が重要です。本稿では、作業療法で用いられる代表的なエクササイズを3つのカテゴリーに分けて紹介します。
垂直面エクササイズ
壁やイーゼルに紙やフェルト板を貼り、患者が前に立って左上から右下へと線を描いたり、既存の図形をなぞったりします。このとき手首は背屈(手の甲が上向き)を保ち、腕との一体感を意識させます。フェルト板に形を貼る、黒板やチョークボードを使用するなど、垂直面での作業は手首伸展を自然に促し、細かな制御力を鍛えるのに最適です。
握力強化エクササイズ
細かな運動が不十分な原因の一つは筋力不足です。筋肉を適切に使わないとすぐに疲労し、タスクの遂行が困難になります。以下のようなシンプルな練習で手指の筋力を向上させます。
- 柔らかいボールやテニスボールを握りしめて圧力をかける。
- 指一本にゴムバンドを巻き、反対の手で抵抗を与えながら伸ばす。
- マットレスに手や指を押し付け、抵抗を利用したトレーニング。
- 指を開閉したり、しっかりと握る動作を繰り返す。
協調性エクササイズ
細かな運動制御には目と手の協調が不可欠です。視覚と感覚情報を脳が統合し、指示通りに手が動くように訓練します。
- ペグボードを使用し、穴からピンを抜いて再度差し込む作業を行う。上達に合わせてタイムチャレンジを加えると、自己ベスト更新へのモチベーションが高まります。
- 実生活に結びつく練習として、フォークやスプーンで食事をする、櫛で髪をとかす、歯ブラシで歯を磨くといった動作を繰り返すことで、日常的な細かな動作の定着を図ります。
