血管腫の定義と概要
血管腫はイチゴのような赤い斑点や結節で現れる先天性の良性腫瘍です。血管を構成する内皮細胞が急速に増殖してできるため、がんではありません。米国ボストン小児病院によると、血管腫は乳児に最も多く見られる良性腫瘍の一つです。
発症と経過
血管腫は生後6〜12か月の間に増殖期を迎え、急速に大きくなります。この増殖期の後、縮小期が始まり、1年から7年かけて徐々に小さくなります。最終的に完全に縮小した状態を「退縮期」と呼び、再び成長することはありません。
リスク要因
メイヨークリニックの調査によれば、血管腫は女児に多く、白人の子どもに頻繁に見られます。アフリカ系アメリカ人の子どもでの発生は極めて稀です。また、スタンフォード大学ルシール・パッカード小児病院の報告では、約10%の血管腫患者に家族歴があり、遺伝的要因が関与することがあります。母体の胎盤由来の幹細胞の変異も血管腫形成に関与すると考えられています。
主な発生部位
血管腫は赤く平らな出生痣として現れ、顔・頭部・首の後ろに多く見られます。成長するとスポンジ状の質感になり、2〜3インチ(5〜7.5cm)以上に拡大することもあります。縮小期に入るとサイズは小さくなりますが、薄い痕や余分な皮膚が残ることがあります。多くの子どもは10歳までに血管腫が目立たなくなります。
受診の目安
小さく自然に退縮する血管腫は特に治療の必要はありませんが、以下の場合は専門医の受診が推奨されます。
- 急速に拡大し、視覚・聴覚・呼吸に支障をきたす恐れがある。
- 目・耳・首など重要部位に位置し、合併症のリスクが高い。
- 血管腫が2つ以上ある場合。
- 複数の血管腫が内部臓器にも存在する可能性があるとき(ボストン小児病院の指摘)。
治療法
ほとんどの血管腫は自然に退縮するため、治療は不要です。外観上の問題や医学的合併症がある場合に限り、以下の治療が検討されます。
- レーザー手術:成長を抑制できるが、出血・感染・瘢痕・色素沈着などのリスクがある。
- コルチコステロイド注射:腫瘍の縮小が期待できるが、成長阻害・血糖上昇・血圧上昇など副作用がある。
治療を検討する際は、必ず小児科専門医や皮膚科医とリスクとベネフィットを十分に相談してください。
