ヘリコバクター・ピロリと胃潰瘍の原因と対策
ヘリコバクター・ピロリとは
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)は、螺旋状の細菌で、胃や十二指腸の粘膜に住み着きます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の最も一般的な原因とされ、世界人口の約半数が感染していると推定されています。
胃・十二指腸潰瘍を引き起こすメカニズム
ピロリ菌は胃酸の強い環境でも生き残るため、以下のような毒性因子を産生します。
- ウレアーゼ:胃酸を中和し、菌の増殖に適した環境を作ります。
- 付着タンパク質(アドヒシン):胃・十二指腸の上皮細胞に付着し、定着を助けます。
- 空胞化細胞毒素(VacA):上皮細胞を障害し、炎症と潰瘍形成を促進します。
- CagAタンパク質:細胞シグナルを乱し、組織障害を拡大させます。
感染経路とリスク要因
感染は主に幼少期に起こり、治療しない限り長期間持続します。潰瘍発症のリスクは次の要因で高まります。
- ヘリコバクター・ピロリ感染
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用(例:アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)
- 喫煙
- 過度のアルコール摂取
- 慢性的なストレス
- クローン病やゾリンジャー・エリソン症候群などの基礎疾患
主な症状
胃潰瘍の症状は個人差がありますが、代表的なものは以下の通りです。
- 上腹部の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 膨満感・ガス
- 胸やけ
- 食欲不振・体重減少
- 倦怠感
治療と予防
症状がある場合は速やかに医師の診断を受けましょう。一般的な治療は次の3つです。
- ピロリ菌除去のための抗生物質(2種以上の併用が標準)
- 胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬)
- 禁煙、アルコール制限、NSAIDsの使用制限など生活習慣の改善
適切な治療を行うことで、潰瘍の治癒と再発防止が期待できます。
