はじめに
閉経は「人生の変わり目」と呼ばれる理由があります。月経が止まると、卵巣からのエストロゲン産生が終了し、さまざまな変化が起こります。その中でも特に懸念されるのが尿失禁で、米オレゴン州ポートランドのプロビデンス失禁センター(Providence Continence Center)マネージャー、ナンシー・サリバン氏によると、閉経後の女性の約40%が経験しているといいます。
漏れ(ストレス失禁)
閉経に伴う膀胱コントロールの低下は、くしゃみ、咳、笑い、さらには重いものを持ち上げたときなど、些細な刺激で尿が漏れる「ストレス失禁」を引き起こします。
原因
多くの研究者は、エストロゲンの急激な減少が膀胱と尿道の筋肉を弱めると考えています。エストロゲンは膀胱・尿道の粘膜を健康に保つ働きがあるとされますが、ホルモン補充療法(HRT)が尿失禁を改善するという科学的根拠はなく、長期使用にはさまざまなリスクが伴います。
その他の要因
膀胱・尿道の筋肉の衰え以外にも、以下のような要因が尿失禁を悪化させることがあります。
- 尿路感染症
- 特定の薬剤の副作用
- 歩行や身体活動の制限
- 心臓疾患
- うつ状態
- 脳卒中や糖尿病による神経障害
対策・治療法
尿失禁に悩んでいる場合は、かかりつけ医、婦人科医、泌尿器科医に相談しましょう。効果が報告されているセルフケアや治療法は次のとおりです。
- カフェイン摂取の大幅な削減
- 骨盤底筋(Kegel)運動の定期的な実施
- 膀胱トレーニング(少しずつ尿量を増やす訓練)
- 膣内に装置を挿入して膀胱を支える手術的サポート
- 膀胱の位置を調整・強化する手術
- バイオフィードバック
- 尿道内に装置を挿入して漏れを防止
- 骨盤底筋への電気刺激療法
骨盤底筋エクササイズ(Kegel)
ポートランドのプロビデンス失禁センターで働くサリバン氏は、骨盤底筋エクササイズ(Kegel)を強く推奨しています。骨盤底筋は膀胱を含む骨盤内臓器を支える役割があり、筋力が低下すると尿失禁が起こりやすくなります。妊娠中に指導されたことがある女性は馴染みがあるでしょう。Kegel運動は、トイレで尿の流れを止めたり再開したりする感覚を覚えることで始められ、日常の好きなタイミングで実施できます。
