上腕神経叢損傷の理学療法アプローチ
上腕神経叢損傷とは
上腕神経叢は脊髄から腕・手・指へ信号を伝える神経の集合体です。この神経叢が損傷すると、腕や手の機能が低下します。損傷は出生時の肩の引っ掛かり、外傷、腫瘍、炎症などさまざまな原因で起こります。
主な症状
- 腕が垂れ下がる、または麻痺している
- 腕・手・手首の筋力低下や運動制御の欠如
- 感覚が失われる、または鈍くなる
- 頸部から患側の腕にかけて激しい痛みが生じることもある
理学療法の目標
- 乳児の場合は、介護者に適切な抱き方や日常動作のポジショニングを指導する
- 子ども・成人では、腕・手首・指の可動域と筋力を維持・向上させる
- 感覚回復を促し、関節拘縮や変形を予防する
理学療法の実施プロセス
上腕神経叢損傷のリハビリは、通常、損傷が確認された時点で開始され、数年にわたって継続されることがあります。治療は大きく3つのフェーズに分かれます。
急性期
早期の可動域確保とアイシングを中心に行い、頸部筋群の柔軟性を高めます。
回復期
損傷前の機能レベルに戻すことを目指し、頸部・上肢の筋力強化エクササイズを実施します。特に損傷した神経を支える筋肉に重点を置きます。
維持期
筋力とコンディショニングを継続的に行い、再発防止と長期的な機能維持を図ります。
セッションは患者の状態に応じて頻度が変わりますが、1回の施術は60分以内に設定します。筋緊張が強い場合は、15分間の表面温熱処置とマッサージを行い、症状が感染症や発熱、開放創を伴う場合は一時的に中止します。
予後
回復の程度は損傷部位と重症度に依存します。スポーツ外傷による上腕神経叢損傷は、理学療法により完全回復が期待できることが多いです。新生児の神経損傷も、神経が完全に断裂していなければ良好な回復が見込めますが、重度の場合は外科的介入が必要になることがあります。
