EMG陰性の外傷性上腕神経叢損傷

概要

上腕神経叢は頸部から腋窩にかけて走る神経の集合体で、外傷、ウイルス感染、手術合併症、自己免疫反応などが原因で損傷(上腕神経叢障害)を起こすことがあります。電気生理学的検査の一つである筋電図(EMG)は、上腕神経叢損傷の有無を評価する標準的な手段ですが、検査時期が不適切だと実際に損傷があっても陰性結果になることがあります。

事実

  • 上腕神経叢の損傷を評価するEMGでは、神経が支配する筋肉に細い電極針を刺入し、筋肉内の電位変化を記録します。収縮時と安静時の活動レベルを比較し、異常な波形が認められれば神経損傷が疑われます。

重要性

  • 軽度の伸展損傷であれば、時間とともに感覚や運動機能が回復することがあります。一方、神経が断裂や裂けた重度の損傷では、機能障害が永久的になる可能性があります。EMGは損傷の範囲と今後の治療方針を決定する上で欠かせない検査です。

追加検査

  • EMGは神経伝導速度検査(NCS)と併用して行われます。NCSは残存している高速神経の伝導速度を測定し、機能している神経があるかどうかを評価しますが、重大な神経障害があっても正常に見えることがあります。EMGは筋肉レベルでの異常を捉えることで、潜在的な損傷を明らかにします。

留意点

  • デューク大学のWheeless整形外科学テキストブックによれば、神経損傷の全容が顕在化するまでには時間がかかります。損傷直後の1週間以内にEMGを実施すると、たとえ重大な損傷があっても陰性結果になることが多いです。そのため、最低でも損傷後7〜10日を経過してから検査を行うのが推奨されます。最も詳細な情報が得られるのは、損傷後3〜4週間が最適とされています。

結果とその意味

  • 損傷後10日以内に実施したEMGが陰性であった場合は、適切な時期に再検査することが必要です。最適なタイミング(3〜4週)での検査でも陰性であれば、永久的な神経障害は起きていない可能性が高いと判断できます。逆に陽性結果が得られた場合は、永続的な損傷が存在し、さらなる治療が必要です。

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