高圧酸素療法はどのような疾患に使用されるか
高圧酸素療法(HBOT)は、深海潜水士の減圧症治療で最もよく知られていますが、創傷治療や一酸化炭素中毒の治療など、他の疾患にも大きな効果があります。医師の中には、主流医療では承認されていない多くの疾患に対しても処方するケースがあります。
減圧症(デコンプレッション症)
潜水士が急速に水面に上がると血液中に窒素の気泡ができ、いわゆる「バンズ(bends)」が発症します。HBOTでは、患者は100%酸素を吸入しながら、チャンバー内の圧力を徐々に上げ(通常は大気圧の3倍程度まで)治療します。この方法は病院、海軍、潜水団体で広く利用されています。
創傷治療
米国潜水・高圧医学会(UHMS)は、壊死性軟部組織感染、放射線障害、ガス壊疽、圧砕傷、やけど、難治性骨感染、脳膿瘍、皮膚移植、慢性創傷などに対するHBOTの適応を認めています。また、一酸化炭素中毒、シアン化物中毒、急激な出血による貧血の治療も承認されています。
実験的な適応例
米国では法律上、UHMSが認めていない疾患でも医師がHBOTを処方できます。主流医療では実験的と見なされている適応例として、ブラウンレクルス・スパイダー咬傷、ライム病、ハンセン病(らい病)、腸閉塞、重度の頭部外傷、心筋梗塞や脳卒中などがあります。
将来的な可能性
主流医療からは疑問視されることが多いものの、オンラインジャーナル「Hyperbaric Medicine Today」では、自閉症、多発性硬化症、頭痛、神経障害、スポーツ障害へのHBOTの研究が掲載されています。
論争点
UHMSが承認していない適応に対する治療は、医師間で継続的な論争の対象です。2005年の『Journal of American Physicians and Surgeons』では、多発性硬化症治療における感情的・政治的な対立が取り上げられました。また、末期エイズ患者へのHBOT使用も議論の的となっています。
