パルスオキシメーターの限界と注意点
酸素は人間の生命に不可欠です。そのため医療従事者は、患者の体内に十分な酸素があるかを確認する手段が必要です。パルスオキシメーターは、赤血球に結合したヘモグロビンが運ぶ酸素飽和度(SpO₂)を測定する装置です。しかし、パルスオキシメーターは万能ではなく、測定精度を低下させるさまざまな制限があります。
血流不足(低灌流)
血液が組織に十分に供給されていないと、動脈の拍動が弱くなり、センサーが信号を捉えにくくなります。低血容量、低血圧、低体温などの状態で起こりやすく、酸素飽和度は正常でも実際の酸素運搬能力が低下している可能性があります。
皮膚の色素量
濃い肌色の患者では、SpO₂が80%以下になると測定値が過大評価されやすいという報告があります。機器は広い範囲の皮膚色に対応していますが、確実を期すために、指や耳たぶなど色素が少ない部位で測定することが推奨されます。
寒さによる震え・振戦
パルスオキシメーターは血流の拍動に依存しているため、患者が寒さで震えていると脈拍や飽和度の表示が乱れます。温かい毛布で体を覆う、あるいはシーツで保温するなどの対策が有効です。
爪の状態(ネイルポリッシュ・人工爪)
測定は特定の波長の光を利用するため、爪に塗られたネイルポリッシュや人工爪が光の透過を妨げ、誤った数値が出ることがあります。耳たぶで測定するか、爪のポリッシュを除去してから測定してください。
貧血
ヘモグロビンが不足すると、酸素を運ぶ赤血球の数が減少し、実際の酸素供給が低下します。ヘモグロビン濃度が11〜18 g/dLの範囲を下回ると、パルスオキシメーターの測定値にも影響が出ます。
