言語の壁とインフォームド・コンセントが引き起こす倫理的ジレンマ
言語の壁
インフォームド・コンセントは、患者が医療に関する選択を行う法的・倫理的権利です。患者の第一言語が英語でない場合、診断や治療の説明に誤解が生じやすく、十分な同意を得ることが困難になります。医師は患者を意思決定に参加させる義務があり、連邦・州法は通訳の使用を含めた手順を定めています。米国保健福祉省の規則 45 CFR 46.116 は、患者が理解できる言語、または患者が指名した代理人の言語で同意を取得することを求めています。
追加的配慮事項
病気になると多くの人は無力感を抱き、選択肢が自分の手にないと感じます。手続きの複雑さ、代替療法の説明、予後の理解は、言語だけでなく識字レベル、精神的能力、ストレスの程度にも左右されます。血液検査やX線撮影のように書面による同意が不要な場合でも、口頭での説明が必要です。たとえ救命的な治療であっても、治療を拒否したからといって無能力と判断するわけではありません。多くの医療機関では、法的・倫理的リスクを回避するために、電話通訳や対面通訳を利用したインフォームド・コンセント取得サービスを提供しています。
ニュルンベルク規範
1949 年に公布されたニュルンベルク規範は、ナチス・ドイツで行われた医学的実験や犯罪に関わった者を評価する基準を初めて示しました。人間に対するインフォームド・コンセントの原則はこの規範に端を発し、過度の圧力・脅迫・欺瞞による同意取得を禁じています。ただし、規範自体に強制力がなかったため、欧米諸国ではその後も同意違反が続きました。
その他の歴史的背景
1964 年に策定されたヘルシンキ宣言は、ニュルンベルク規範を踏まえて研究参加者の保護をさらに強化しました。独立した倫理審査委員会によるレビューと外部評価を必須とし、審査を受けていない研究の公表を禁止しました。1974 年の米国議会による国立研究法(National Research Act)は、医療研究における人間参加者の取り扱いとインフォームド・コンセント取得を厳格に管理することを目的として制定されました。
