好気性と嫌気性細胞呼吸の比較
細胞呼吸は、細胞が食物からエネルギーを取り出すプロセスです。酸素が利用できる場合は好気性呼吸、利用できない場合は嫌気性呼吸(発酵)として進行します。両者はグルコース1分子から始まり、最終的にATP(アデノシン三リン酸)という形でエネルギーを供給します。
解糖系(グリコリシス)
解糖系は好気性・嫌気性の両方で最初に起こる反応です。細胞質基質で、6炭素のブドウ糖が2つの3炭素ピルビン酸に分解されます。この過程でATPが2分子消費され、4分子が生成され、純利益は2分子です。酸素は不要です。
クレブス回路(クエン酸回路)
好気性呼吸の場合、ピルビン酸はミトコンドリアへ移動し、補酵素Aと結合してアセチルCoAになります。アセチルCoAはクレブス回路に入って酸化され、NADH・FADH₂に電子が移動し、CO₂が副産物として放出されます。
電子伝達系
ミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系では、クレブス回路で作られたNADHとFADH₂が電子を酸素へと運びます。酸素は最終電子受容体であり、水が生成されます。この過程でプロトン勾配が形成され、ATP合成酵素(ATPシンターゼ)により約34分子のATPが合成され、好気性呼吸が完了します。
発酵(嫌気性呼吸)
酸素が不足すると、解糖系の後に発酵が続きます。植物ではピルビン酸がアルコールに、動物では乳酸に変換されます(NADHが再酸化される)。この段階で得られるATPはわずか2分子です。
嫌気性呼吸が使われる状況
好気性呼吸に比べてエネルギー効率は低いですが、激しい運動時や酸素供給が不十分な環境で重要な役割を果たします。運動中の乳酸蓄積は筋肉痛の原因となり、回復期に乳酸は再びピルビン酸へと変換されます。また、酵母は嫌気性発酵でアルコールを生成し、ビールやリキュールの原料となります。
