医療現場における職場暴力のリスク要因

2003年に米国労働安全衛生研究所(NIOSH)が実施した調査では、医療現場での職場暴力が増加し、スタッフ・患者・来訪者が被害に遭っていることが明らかになりました。暴力の形態は脅迫、身体的暴行(強姦・殺人・凶器使用を含む)や強盗と多岐にわたります。前年には病院従業員が2,637件の非致死的暴行を受け、従業員1万人あたり8.3件という高い率(民間部門は2件/1万人)を示しました。予防策や管理体制、トラウマ後の研修が不十分なままでは、施設は暴力に対して脆弱であると指摘されています。

個人に関するリスク

  • 高ストレス状況にある患者や、過去に暴力行為の前科がある者は危険度が高い。
  • 統合失調症などの精神疾患を抱える人や、薬物・アルコールに酔っている人も暴力を起こしやすい。
  • 入院後に釈放された慢性精神疾患者が、適切なフォローアップがないまま再来院すると、再度暴力的行動に至る可能性がある。
  • 警察や司法機関が病院を一時的な拘束場所として利用するケースが増えると、暴力傾向のある患者が増加するリスクがある。
  • 口頭やボディランゲージで脅威を感じた場合、暴力行為がエスカレートしやすくなる。

シナリオに関するリスク

  • 人手不足や単独勤務、警備体制が不十分な場合、暴力が発生しやすい。
  • 待合室が混雑し長時間待たされると、利用者のイライラが増し、突発的な暴力につながることがある。
  • 診察・治療・理学療法の際に、スタッフが患者と二人きりになる場面はリスクが高い。
  • 特に犯罪率の高い地域では、アラームや通信システムが設置されていないエリアでの孤立した状況が危険を伴う。

その他のリスク

  • 患者搬送時に不意を突かれないよう、十分な警戒が必要。
  • 照明の暗い廊下や部屋、駐車場でも同様に注意が求められる。
  • 診療所や薬局など金銭・薬品を扱う施設は、強盗などの暴力事件に巻き込まれやすい。

抑止策

  • 最も基本的かつ効果的な対策は、十分な人員配置と警備体制を整えること。
  • NIOSHの調査結果を受け、病院は米国労働安全衛生局(OSHA)と連携し、安全強化・予防策、緊急時対応、トラウマ後の支援プログラムを策定している。

事後対応(ポストトラウマ)

  • 暴力事件後、スタッフが適切に対処しないと再発リスクが高まるとNIOSHは指摘している。
  • 衝撃を受けた医療従事者は、冷静さを保ちつつ、パニック状態や怒りに対処できるよう支援が必要。
  • 組織は、暴力発生後も最適な医療提供を継続できる体制を整えると同時に、スタッフが個別・集団で出来事を処理できるプログラムを用意すべきである。

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