患者を持ち上げる際の身体力学ルール
患者の移乗(ベッドから椅子、椅子から担架など)は、医療従事者にとって基本的な技術です。正しく行わないと、背中や腰に重傷を負い、長期間の休職や永続的な障害につながります。以下の身体力学の原則を守り、安全に移乗しましょう。
背中で持ち上げない
腰から前屈して患者を抱え、背筋で持ち上げようとすると、背中に深刻な負傷を招きます。患者を落とす危険もあります。
脚で持ち上げる
背筋はまっすぐに保ち、太ももの筋肉(大腿四頭筋)で体重を支えます。膝を曲げた状態で患者を抱え、脚の力でまっすぐ持ち上げます。患者はできるだけ体に近づけて持ち上げると効果的です。
ねじれ動作を制限する
患者や重い物を抱えたまま体をねじると、背中・腰・脚の筋肉に過度の負荷がかかります。どうしても必要な場合は、体全体を回転させて動作を行いましょう。
腹筋(体幹)を使う
持ち上げる際に腹筋や体幹を締めることで、背中への負担を軽減できます。脚の力で持ち上げると同時に、体幹を安定させましょう。
体に近い位置で持ち上げる
患者が自分の体に近いほど、脚の力を効率的に使え、背中の筋肉を使うリスクが減ります。腕の長さで持ち上げる動作はできるだけ避けましょう。
滑らかな動作を心がける
急いだり、ぎくしゃくした動作は筋肉に余計な緊張を与えます。事前に持ち上げる手順と位置を確認し、落ち着いて動作しましょう。
患者が可能なら協力を求める
患者が自立できる程度に動ける場合は、体重の一部を自分で支えてもらいましょう。そのためには、患者の状態を把握し、適切な指示を出すことが大切です。
自分の限界を知る
自分だけで持ち上げるのが難しいと感じたら、すぐに助けを呼びましょう。一人での移乗は危険です。特に仰向けの患者を移乗する場合は、必ず複数人で行うことが原則です。
