医療で使われる材料の概要
医療材料の定義
医療における材料の使用は、主に生体組織と相互作用する生体材料または合成材料の長期使用を指します。血液バッグや注射針などの短期使用品は通常、定義に含まれません。D.F. Williams は 1987 年の『Progress in Biomedical Engineering』で、次のように定義しました。「生体システムと相互作用することを目的とした、生体医療デバイスに使用される非生体材料」――この定義が標準となっています。
使用例
- 歯の詰め物は金属アマルガム、プラスチック、金などが使われます。
- 外科手術で皮膚を縫合する際、カトゥー(腸壁)やプラスチック製の縫合糸が使用されます。
- 重度の火傷では、皮膚に近い特性を持つ材料が創面保護に使われます。
- 人工内耳やペースメーカーは、聴覚障害や不整脈の治療に利用されています。
- インスリンポンプや人工膝関節も、医療材料研究の成果です。
材料の種類
プラスチック(ポリマー)、チタンなどの金属、アルミナなどのセラミックが頻繁に使用されます。これらは体内で安定し、剥がれたり腐食したりしにくいことが求められます。かつては「不活性」な素材が最適と考えられていましたが、現在は生体適合性を持つ材料やコーティングが開発されています。長期間体内に留まり、組織を損なわないことが重要です。乳房インプラントで使用された素材に関する問題が代表例です。
股関節置換術
加齢に伴い骨密度が低下し、靭帯が弱くなります。80〜90歳の女性の33%、男性の17%が股関節骨折を経験します。股関節置換にはチタンが使用されますが、腐食しても体への悪影響はありません。関節端部は摩耗が少ないセラミックコーティングが施されています。
材料科学者と技術者
化学・生化学・物理学・工学が医療材料開発の基盤です。医師や歯科医だけでなく、ナノテクノロジー、神経学、血液凝固、細胞接着、タンパク質合成、免疫学、電子工学・流体工学の専門家も協働します。
科学者以外の関与
医療材料は法規制の対象で、米国食品医薬品局(FDA)の承認が必要です。議会や法務部門が関与し、デバイスが人体に損害を与える場合の法的問題や、人工部位に関わる倫理的課題も生じます。すべての人が医療材料の影響を受けています。
