医療倫理の歴史
医療倫理は、医療従事者が職務を遂行する上で守るべき道徳的指針や倫理規範です。医療倫理コードは、医師と患者、地域社会、同僚との関係における適切な行動を定めています。国ごとにコードは異なりますが、基本的な原則は共通であり、世界医師会によればすべてのコードは同じ歴史的進化をたどっています。
ヒポクラテスの誓い
古代ギリシアの医師ヒポクラテス(紀元前460〜377年)が提唱した「害を与えない」というシンプルな言葉が、医療倫理の最初の基本指針となりました。後に181語からなる誓約文へと発展し、現在では医学生の卒業式で朗読されることが一般的です。
古代医療文献
ヒポクラテスの時代から約1世紀後、インドや中国の医療文化は医師の謙虚さ・配慮・慈悲といった美徳を規範化しました。当時の宗教は、医師と患者の神聖な関係を認識させ、倫理的行動の基盤を形成しました。
啓蒙時代
18世紀の啓蒙運動期に西欧で医療が急速に進展し、最初の医療倫理書が出版されました。イギリスの医師トーマス・パーシバルは1803年に『医療倫理規範(Code of Medical Ethics)』を刊行し、同時期にペンシルベニア大学のベンジャミン・ラッシュ教授も医学生に倫理の重要性を講義しました。
19世紀
1847年、米国医師会(American Medical Association)が設立され、政府の法規が未整備だった時代に明確な医療倫理コードを制定しました。このコードは、近代医師とホメオパシーや信仰医療の実践者を区別し、医師と患者の適切な関係を規定しました。
現代の医療倫理コード
現代の医療倫理コードは、新たな倫理課題が浮上すると随時改訂されます。カナダや米国の大学では25以上の大学院が医療倫理学のプログラムを提供しており、米国医師会の倫理・司法委員会(Council on Ethical and Judicial Affairs)が毎年最新のガイドラインを出版しています。
