医療保険詐欺と不正行為の兆候

意図しない詐欺(無意識のミス)

病院や医師が意図せずに行うミスは、通常は責任を問われません。例えば、一般的な検査で医師が診断コードを添えて検査を依頼し、検査機関が請求書に同じ診断コードを記載します。しかし、実際にはその診断コードだけでは全ての検査項目をカバーできないことがあります。保険会社はこのようなケースを理解しており、支払いが拒否されることはあっても、刑事罰や訴訟には至りません。

意図的な詐欺(故意の不正)

金銭を不正に得ようとする行為は、米国保健福祉省(HHS)監査局(OIG)やメディケア回収監査事業(RAC)によって厳しく取り締まられます。代表的な不正手口には、アップコーディング、過剰請求、請求書の大量送付、医療記録の改ざん・偽造などがあります。

アップコーディング

診断コードを実際よりも重症度の高いものに変更し、保険金の支払い額を増やす手口です。入院請求は診断コードとその順序で支払額が決まります。OIGは特定の診断コードを監視リストに載せており、該当コードの請求割合が高い施設に対しては全面的な監査が行われます。意図的に重症度を上げたと判断されれば、施設は罰金を科せられます。

過剰サービスの請求

患者ごとに正確に料金を算出する仕組みが不備だと、実際に提供されていないサービスまで請求されることがあります。場合によっては、意図的に存在しないサービスを請求し、過剰請求が行われることもあります。

請求書の過剰送付

請求書を大量に送るだけで、保険会社は不正をすぐに検知できます。保険会社や政府機関は、各病院のベッド数や提供サービス、地域の人口統計から、日・週・月単位で想定される手術件数や診療件数を算出しています。数日間で急激に請求件数が増えても警告は出ませんが、数か月にわたり異常が続くと監査が開始されます。

医師の場合も同様で、診療時間や手技数の平均から不自然な請求量が判明します。たとえば、個人診療所が1日で100件の請求を出すのは現実的ではなく、メディケイド詐欺の疑いがかけられます。

医療記録の改ざん・偽造

最も深刻で発見が難しい不正です。医療記録は必ずしも全ての請求に添付されないため、監査のトリガーを把握した上で記録を操作し、支払額を不正に増やすことが可能です。診断コードを意図的に変更したり、重要情報を削除・改ざんしたりすることは違法です。たとえ指示があっても、診断コーダーが報酬増加を目的にコードを変えることは犯罪となります。

罰則

故意の詐欺・不正に対する罰則は非常に厳しいです。罰金は監査対象となった請求件数や不正期間の推定額に基づき、請求金額の一定割合で算出されます。さらに、誤った請求分は返還が求められ、財務的負担が増大します。違反者が罰金に異議を唱えても、敗訴した場合は元の罰金の3倍を支払う必要があります。

加えて、刑事訴追が行われることもあり、有罪判決を受ければ最大5年の懲役と個人罰金が科せられます。

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