病院経営の課題

財務

  • 2008年のAmerican College of Healthcare Executivesの調査では、財務上の課題が最も大きな経営上の懸念とされました。主な課題はメディケアやメディケイドなどの主要保険者からの償還が予算策定の出発点となることです。医薬品や医療材料の費用上昇に加え、熟練した専門職の人件費も高騰し、他院へ転職する人材を防ぐためのコストが増大しています。

人員確保

  • 全国的に特定の資格が必要な職種で人手不足が深刻化しています。特に看護師は長時間労働や賃金の低さ、看護学校の減少が要因となり、深刻な不足状態です。医療記録のコーディング担当者も経験者が不足し、アップコーディングや不完全な記録に対する罰則を恐れて採用が難航しています。さらに、地方の遠隔地域では専門分野の医師を確保することが困難です。

研修・教育

  • 医療機関は従業員が最新の規制・手順・技術を習得し続けることを求められますが、財務が逼迫すると研修予算が削減されがちです。その結果、新たな収益性の高い診療法を導入できなかったり、最新知識が不足したまま患者を診療したり、請求コードの適切な入力ができず収益機会を失うリスクが高まります。

患者安全

  • 患者安全は訴訟リスクやメディア報道だけでなく、州・連邦の規制当局からの高額な罰金対象でもあります。医療ミスや新興感染症の拡大、特に院内感染の蔓延が大きな懸念です。スタッフが石鹸と水で手を洗うことが基本対策とされていますが、看護師や技術職の不足が続くと安全確保はますます難しくなります。

無保険者への医療提供

  • 米国では4,600万人以上が健康保険に未加入で、メディケア・メディケイド加入病院は慈善医療を提供する義務があります。多くの州で慈善医療に対する一部償還は受けられますが、実際の費用をカバーするには至りません。緊急でない手術は保留できても、救急外来に来た患者は支払い能力に関わらず治療しなければなりません。地方・都市部問わず、無保険者対応はすべての病院に共通する課題です。

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