双極性障害とは何か:症状・原因・治療法の全体像

概要

双極性障害(旧称:躁うつ病)は、脳の機能障害によりエネルギー量、気分、自己認識、日常機能が大きく変動する疾患です。10代後半から20代前半に初めて発症することが多く、未治療のまま放置すると人間関係の破綻、就労不能、重度の障害、最悪の場合は自殺に至ります。現在は薬物療法や電気けいれん療法(ECT)など、さまざまな治療法が用意されています。

罹患率と診断の難しさ

成人の約3%(米国では5.5百万人以上)が双極性障害を抱えていると推定されています。思春期や若年成人という人生の変わりやすい時期に発症しやすく、症状が混在しやすいため診断が遅れ、誤診されることも少なくありません。適切な診断と早期治療が行われないと、仕事や家庭、社会的なつながりに深刻な障害をもたらし、自殺リスクが高まります。

主なタイプ

双極性障害は大きく3つに分類されます。

  • 双極性障害Ⅰ型(Bipolar I):完全な躁状態(時に精神病を伴う)と重度のうつ状態が交互に現れます。
  • 双極性障害Ⅱ型(Bipolar II):うつ状態はⅠ型と同様に重いものの、躁状態は軽度の「軽躁(hypomania)」にとどまります。
  • 循環性気分障害(Cyclothymia):軽度のうつと軽躁が頻繁に交互し、稀に正常な気分になることもあります。

特徴的な症状

双極性障害は「躁(マニア)」「軽躁(ハイポマニア)」「うつ」の3つの状態が繰り返されます。躁状態の主な症状は、エネルギーの増加、幸福感または刺激的なイライラ、思考の奔流、睡眠欲求の減少、性欲増加、早口、注意散漫、非現実的な考えです。軽躁は同様の症状が現れますが、精神病や機能障害は伴いません。

うつ状態の症状は、長期間続く悲しみや空虚感、罪悪感・無価値感、興味・喜びの喪失、意思決定困難、過度のイライラや落ち着きのなさ、過眠または不眠、食欲変化、死や自殺への思考です。躁と鬱の症状が同時に現れる「混合状態」もあります。

原因

現在のところ、双極性障害の単一の原因は明らかになっていません。遺伝的要因、神経伝達物質のバランス変化、長期的または急性のストレスが関与していると考えられています。MRIやPETなどの脳画像研究により、双極性障害患者の脳活動パターンが健常者と異なることが示されています。原因解明が進めば、症状の管理だけでなく根本的な治療法の開発が期待されます。

治療と予防

治療の中心は薬物療法です。躁状態にはリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定薬が用いられ、精神病症状には抗精神病薬(例:ジプレキサ、リスペリダル、セロクエル)が処方されます。うつエピソードには抗うつ薬が、睡眠障害にはベンゾジアゼピン系薬剤(例:バリウム)が使用されます。

多くの患者は生涯にわたって薬を継続する必要がありますが、効果が得られない場合は薬剤の組み合わせや投与量の調整に時間がかかります。薬が効かない「薬剤抵抗性」のケースでは、電気けいれん療法(ECT)が有効とされています。ただし、ECTにも副作用リスクがあるため、慎重な判断が求められます。

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